ファーブル昆虫記

高校生時代に「日本のファーブル」と呼ばれた岩田久二雄さんの『昆虫学50年』(中公新書、絶版本で入手困難)を読み、生態学の道へ進むことを決めたと、信州大学の市野隆雄先生はいう。岩田さんの多くの著作には、日本の昆虫の驚くような生態が描かれており、それを研究する岩田さんの姿にあこがれたのである。フランスの博物学者ファーブルは、昆虫の行動研究の先駆者であり、研究成果をまとめた『昆虫記』はあまりにも有名だ。本書は、第1巻は「ふしぎなスカラベ」、2巻は「狩りをするハチ」、3巻は「セミの歌のひみつ」、4巻「攻撃するカマキリ、5巻「カミキリムシの闇の宇宙」、6巻「伝記虫の詩人の生涯」からなる。この本を読むと、身近な野外でこれほど興味深い生物の営みが行われていることに驚かされる。 (奥本大三郎:訳/集英社文庫)

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