平安時代から鎌倉、室町時代に生み出された日本の中世文学が専門です。特に、平家の栄華と没落を描いた『平家物語』と寺院資料との関係性について研究しています。そのために、まず寺院資料そのものについて研究しています。これまで読まれてこなかったような寺院資料を調査して紹介し、今は失われた中世の宗教世界の豊かな財産に光を当てることを試みています。そして、寺院資料に注目することで、平家物語が中世の寺院で育まれた文化を吸収してでき上がっていることが見えてきました。寺院資料により、平家物語の新たな一面が発見できるのです。
寺院資料や平家物語から見えてくる中世の人々の考え方や生き方を知ることによって、今を生きる私たちの、ものの見方や価値観を考えることができます。寺院資料や平家物語の世界を紹介することで、この社会に生きる人々の生き方に影響を与えることができるのではないかと思っています。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→教育・学習支援業、出版業、一般企業
- ●主な職種は→教員、図書館司書、書店員、編集、営業
分野はどう活かされる?
大学時代に学んだ文学の分野や知識を直接活かす場合は少ないと思います。それよりは、文学に触れた経験やそれにより考えさせられたことを活かしているでしょう。
奈良時代以来、人々は多くの「文学」を生み出してきました。現代においても数多くの「文学」が登場しています。多くの人が、「文学」を楽しんだり、「文学」に励まされたりと、様々な形で「文学」に関わって生きています。人間にとって「文学」がとても重要なものであることは確かですが、しかし、なぜ人間は「文学」を作り出すのか。あるいは、なぜ人間は「文学」を求めるのか。そもそも「文学」とは何なのか。唯一絶対の答えはありませんが、様々な「文学」と向き合いながら、人間にとっての「文学」の意味を考え続ける学問分野です。
日本文学について、全ての時代を学ぶことができます。奈良時代から近現代まで、各時代の専門家がいます。さらに日本語学と中国文学も加わって、広い視野から日本の文学の特質を考究することを目指しています。また近年は、日本史学や考古学と連携して、日本文化とその継承のあり方を、総合的に理解しようという試みも始めています。