まっすぐな針金をちょっとだけ曲げても元のまっすぐな形に戻りますが、大きな力を加えてたくさん曲げると、曲がったままになります。元に戻るのは弾性変形、曲がったままなのは塑性変形といいます。
塑性変形、弾性変形について数学的には未解決な問題がたくさんあります。これを解決すれば、例えば自動車を作る時にどのようなデザインにすれば頑丈か、または安全かといった問題に、実際の衝突実験をしなくても答えることができるようになります。
工学や経済学にも応用できる非線形微分方程式
非線形偏微分方程式論という分野で、材料の変化についての方程式を研究しています。線形とは文字通り直線的な形の変化を表現しますが、現実の現象の変化をより詳しく知るには、非線形な変化を調べる必要があるということから、非線形微分方程式は発展しました。
私は特に、大きな変形に興味を持っています。燃費の向上などエネルギー効率をいかにして高めるかといった、この分野の様々な未解決問題に答えることができます。応用分野は工学分野に限りません。塑性変形の変化の性質は一つのループを形成することがわかっていて、それは経済現象や社会現象を記述する際に応用されたりもしています。
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「3.地球・宇宙・数学」の「11.数学(解析、代数、幾何、複雑系、離散数学等)」
一般的な傾向は?
●主な業種は→自動車、造船、製紙などの工業分野の企業
●主な職種は→設計、製造、プログラムなど上記企業の事業全般
●業務の特徴は→特にプログラム関連の業務が多いようです
分野はどう活かされる?
業務用の流体解析ソフトウェアの開発業務
PCでExcelなどのソフトを用いた、バネの振動などの運動方程式の簡単な数値シミュレーションは、高校の微積分や物理学の理解を深める上でも良いと思います。私自身、今でも簡単なシミュレーションから新しい発見をすることが多いです。ぜひおすすめしたいです。
フェルマーの最終定理
サイモン・シン 青木薫:訳(新潮文庫)
フェルマーは、17世紀のフランスの数学者。「数論の父」と呼ばれる。数論とは数、特に整数の性質について研究する数学のことで、代数学の一分野。職業は弁護士、数学は余暇に行ったが、晩年、本の余白に書き残したという逸話で有名なのがフェルマーの定理だ。長らく証明も反証もなされなかったが、360年後、アンドリュー・ワイルズによって完全に証明され、ワイルズの定理あるいはフェルマー・ワイルズの定理とも呼ばれるようになった。この本は、3世紀に及ぶ数学者たちの苦闘を描く、数学ノンフィクション。数学の分野の醍醐味だけでなく、学問的な難問に挑戦してきた数学者のドラマを通して学問の醍醐味を味わえる。