持続可能システム

地球環境問題

30年後、100年後は?地球環境に影響を与える人間活動を予測


藤森真一郎先生

京都大学 工学部 地球工学科(工学研究科 都市環境工学専攻)

出会いの一冊

低炭素社会のデザイン――ゼロ排出は可能か

西岡秀三(岩波新書)

脱炭素化社会とはどういう状態なのかがわかりやすく書いてあり、我々の研究グループの研究がどういうものかを想像しやすいです。

社会のどの部分をどのくらい変えないといけないのか、それが大変なことなのかどうかというのが比較的わかりやすく書かれていると思います。

こんな研究で世界を変えよう!

30年後、100年後は?地球環境に影響を与える人間活動を予測

コンピュータシミュレーションモデルで描く

気候変動、大気汚染、生物多様性問題など地球環境問題は人間活動によって引き起こされています。

その人間活動は今後10年、30年、100年でどのようになるのか、それが地球環境にどのような影響を与えうるのか、そしてそれをどうやって解決したらいいのか?この問に答えるためには、複雑な人間活動の将来予測をしなくてはいけません。

私たちの研究チームでは人口はどのくらい増えるのか、私たちはどんなエネルギーを使って生活するのか、どのような食料を食べているのか、といったことをコンピュータシミュレーションモデルを使って描きます。

人口が100億になったらエネルギー消費は?

私たちの研究の醍醐味は少なくとも3つあります。一つ目は人間活動という抽象度の高いものを具体的な数値で表していけるところです。何十年も先のことはそもそも想像するのが難しいです。しかし、それを数値で表していくと、そこに少しずつリアリティが出てきます。

現在の人口は世界で80億人といわれますが、それが今世紀中には100億人弱となると見込まれます。でもエネルギー消費は人口増加よりももっと大きくなり2倍近くになると考えられています。それは途上国で経済成長が進むからです。高校生の皆さんは世界をそうやって切り取っていくことができるということは想像もできないかもしれません。

大豆ミートに変えたら環境はどうなるか

二つ目はそこにどんな政策や社会の変化が起こると地球環境問題が解決できるのかという社会的に重要な知識を作れるところです。

皆さんは牛肉を食べていると思います。でもそれをすべて魚に変えたとしたら、あるいは大豆ミートに変えたら環境はどうなるのか、ということにも数値をもって答えられるようになります。私たちの研究は社会に大きな影響を与える可能性を持っています。

三つ目は複数の学問の知識を融合するところです。気象学、経済学、エネルギー工学、農業経済学、コンピュータ科学などを駆使してシミュレーションモデルを作ります。

そこには広範囲の知識を求められますが、研究を通じて広い知識を身に着け、俯瞰的な視点で物事を捉えられるようになっていきます。これはとても特殊なスキルで我々のグループだからこその人材が育っていきます。

学生の研究を実際にやっている様子
学生の研究を実際にやっている様子
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

高校生の頃に環境問題を勉強して単純に温暖化等地球環境問題について興味を持ちました。あまり深く考えずに何となく地球環境問題について勉強できそうなところということで地球工学科、都市環境工学専攻へ進みました。

それからずっとこの分野で研究をしてきましたが、今から思うと興味も能力も結構ぴったりあっていたのかなと思います。

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「先駆的な統合評価モデル開発と脱炭素化社会へ向けた長期社会経済シナリオに関する研究」

詳しくはこちら

先生の分野を学ぶには
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世界の耕作地の分布
世界の耕作地の分布
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) コンサルタント・学術系研究所

(2) その他の輸送用機械・機器(自動車・船・航空機・鉄道以外)

(3) 大学・短大・高専等、教育機関・研究機関

◆主な職種

(1) コンサルタント(ビジネス系等)

(2) 保守・メインテナンス・維持管理、運用・システムアドミニストレータ・サービスエンジニア

(3) 大学等研究機関所属の教員・研究者

◆学んだことはどう生きる?

当研究室(京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻大気・熱環境工学分野)ではデータ分析のスキル、システムを包括的に把握して細部を検討するというマクロとミクロを見る視点などが身に付きます。

今企業ではCO2排出量の排出や環境負荷の低減が求められており、各企業のCO2排出量を分析したり、排出削減の可能性などを検討する人材を必要としており、メーカー等で活躍する人がたくさんいます。

また、環境コンサルとして地方自治体、政府などの政策策定のサポートをしている人もいるようです。博士を取得して研究機関、教育機関で働いている人も比較的多いです。

先生の学部・学科は?

気候変動に関する研究は①温室効果ガスの排出削減に関する分野、②地球の物理に関する分野、③気候変動の影響に関する分野の3つに分かれますが、①をやっている私たちの研究グループは日本トップ、世界トップレベルの研究を実施していると自負しています。

気候変動の解決策を勉強・研究したいと思っている人、社会・経済・工学等理系と文系の知識を融合した仕事がしたいと思っている人、コンピューターやプログラミングが好きでそれを使って環境問題に貢献したいと思っている人、環境分野で世界で活躍したい人、SDGsに興味がある人、等多様な人が研究できるところが特徴です。

研究で用いるモデルの概要
研究で用いるモデルの概要
先生の研究に挑戦しよう!

現在火力発電に依存している発電システムを再生可能エネルギーに置き換えると発電の変動性に対応しないといけません。例えば太陽光は昼間しか発電できません。

仮想的に日本の現状の電力需要を太陽光だけで賄い、蓄電池のみでその変動性に対応するとしたときに、どれくらいの蓄電池が必要になるか計算してみてください。

電力需要を調べ、太陽光発電は時間別でどんな挙動をするのかといったことを考えないといけません。またいくつかの想定も自分でする必要があると思います。どうやって決めたらいいんだろうと考えることがとても良い勉強になると思います。そして色々勉強したり調べてもわからなかったら、大胆に決めてみてください!

中高生におすすめ

これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学

マイケル・サンデル、訳:鬼澤 忍(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

私自身は30歳くらいの時に読みましたが、自分の視点の狭さを思い知らされました。本の主題である正義だけでなく、あらゆることを一度きちんと突き詰めて考えなおすと常識と思っていることも疑って考えたほうがいいと思うきっかけになるかもしれません。

高校の勉強では答えがだいたい決まっていますが、そうでない現実の問題をどうやって考えたらいいかという考え方も学べるかもしれません。

一問一答
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は?

地球物理。今いる分野の近くでノーベル賞を取れる可能性がありそうだから。

Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?

オーストリア。2016年に約1年住んだ経験から、安全でとても住みやすい場所という印象を持ちました。

Q3.好きな言葉は?

人の心を動かすのは人の心


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