知覚情報処理

スマホの音声ナビのあの声も、音声合成技術の成果!「人のように話す」を目指して


徳田恵一 先生

名古屋工業大学 工学部 情報工学科 メディア情報分野/工学研究科 工学専攻 情報工学系プログラム

どんなことを研究していますか?

音声認識・音声合成を利用し、人間のように話しかける秘書エージェント、音声翻訳システム、VR、触覚インタフェースなどが次々と研究開発され、実用化されつつあります。私は音声言語処理などを専門に、特に人間のように話すことのできる新しい音声合成方式の研究開発を中心に行ってきました。統計的機械学習、さらには深層学習などのAI技術を基盤とした手法を用いています。

ドラえもんも夢じゃない

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これまでに開発した音声合成方式は、各種携帯電話・スマートフォン、Android OS、名古屋工業大学学内ベンチャー企業のテクノスピーチで開発した音声創作ソフトウェアCeVIO(チェビオ)、通信カラオケで知らない曲を歌ってくれるボーカルアシストなどで、広く利用されています。

人と機械の双方向の自然なコミュニケーションのためには、人間の知覚特性をよりよく理解し、その特性を活かしたインタフェースを実現することが求められています。このような研究開発が進展することにより、ゆくゆくは友達のように自由におしゃべりできるロボットが実現されることになるでしょう。ドラえもんのような!

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研究室にて

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→電気、通信、自動車
  • ●主な職種は→技術者、研究開発者、学術研究者
  • ●業務の特徴は→インターネットを中心とした情報通信産業の発達とともにテキスト、音声、画像、映像等の取り扱う場面が増えており、機械学習、さらには深層学習をベースにした自然言語処理、音声処理、画像処理等の技術者の活躍の場が広がっています。
分野はどう活かされる?

Googleで新しい音声合成技術の開発に従事、国立研究所で音声翻訳システムの開発に従事、楽器メーカーで歌声合成ソフトウェアの開発に従事、自動車関連メーカーでカーナビの開発に従事しています。

先生から、ひとこと

現在の音声合成は、いったい、どこまで進み、どんなふうに利用されているのでしょうか。これから、どのような応用がなされていく可能性があるのでしょうか。その応用は、人類の未だ見ない将来をどのように変えていくのでしょうか。みなさんご一緒に、「音声合成」という世界への旅に出発しましょう。

先生の学部・学科はどんなとこ

名古屋工業大学工学部情報工学科は、情報化社会を担う技術者として必要な全ての要素を網羅する、3つの教育プログラムから構成されています。これらの中のメディア系プログラムでは、人の知覚や認知、感性や感覚に基づく、人に優しいメディア情報システムを実現するため、画像、映像、音声、音楽、文章などの様々なメディア情報を処理する技術、感覚や感性を解析・生成・評価するための理論とコンピュータによる実現法、これらの技術の評価法など基礎的な知識・技術を学びます。

また、学部4年間と大学院博士前期課程2年間を接続した6年一貫の「創造工学教育課程」を開設しています。中でも情報・社会コースのメディア情報分野では、音声認識・音声合成、画像認識・画像理解、拡張現実感等をキーワードとするメディア情報分野を主軸とし、知能情報やネットワーク、電気電子を同時に学んでいます。

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徳田研究室他が開発した、学内の案内をする「メイちゃん」を囲んで。現在は大学キャンパスの入り口で訪問者を迎えています。

先生の研究に挑戦しよう

音声を録音し、分析するためのPC用ソフトウェアがいくつか公開されています。Wavesurfer、Audacity、Praat等、いずれもフリーソフトウェアです。自分の声を録音してみて、各母音・子音の特徴を調べてみましょう。各母音や子音を自分がどのような仕組みで発声しているか、自分の口の動き(舌や歯を含む)、声帯の振動、空気の流れなどをよく観察してみましょう。人間が声を生成する仕組みと音声波形との対応関係を理解できると思います。

興味がわいたら~先生おすすめ本

おしゃべりなコンピュータ 音声合成技術の現在と未来

山岸順一、徳田恵一、戸田智基・みわよしこ

『ドラえもん』の「声のキャンデー」は、対象の人物の声紋パターンを完璧にコピーしたキャンディーを作る機械。舐めれば、対象の人物とそっくりな声が出せる―。ところが、現実は、想像力をはるかに超えたところにある。現在の音声合成は、一体どこまで進んでいて、どんなふうに利用されているのか。将来はどのように応用されていくのか。音声合成方式を研究する名古屋工業大学・徳田先生らの著書。 (丸善ライブラリー)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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