南極海の魚が凍らないタンパク質のひみつ
氷の成長を抑制する
生物が寒さに耐えるしくみとはどのようなものでしょうか?
南極の海に生息する魚から発見されたタンパク質はとてもユニークな機能を持ちます。氷晶結合タンパク質(Ice-binding Protein: IBP)と呼ばれ、文字通り氷に結合し、氷の成長を抑制する機能を持ちます。
これにより、魚の血液は凍らずに寒冷な環境でも生存できると考えられています。
線虫の生存率が格段にアップ
IBPの機能や特徴に関する研究が精力的に行われている一方、体の中でこの分子がどのくらい効果を発揮できるのか調べた研究は多くありません。
そこで私たちは、線虫C. エレガンスを用いて、IBPの効果を生体レベルで検証しています。様々な生物から見つかったIBPを片っ端から線虫に遺伝子導入し、凍結後の線虫生存率を調べました。
すると通常の線虫生存率は 7 % ほどなのに対し、IBPを持つ線虫は最大70%以上の生存率を示しました。
生き物をまるごと凍結保存
最新の知見では、凍結だけでなく、氷のない低温でもIBP が線虫の生存率を改善することもわかりました。これらIBPの機能は、凍結や低温損傷を回避するために重要で、IBPを利用することで生き物をまるごと凍結保存したり、生体組織や臓器を長期的に保存する技術にも活用できる可能性があります。
私たちは、医学・医療分野で利用できる新しい保存技術の実現を目指し、日々研究に取り組んでいます。
もともとロボットに興味があり工学部に進学したのですが、勉強する中で AI や脳の話を聞く機会があり、これをやりたい!と思うようになりました。
大学院生のときは線虫を使った脳神経の研究を行い、記憶や意思をコントロールする上でタンパク質分子が鍵を握ることがわかり、だんだんとタンパク質自体に興味が出てきました。
そんな中、面白いタンパク質がある!ということで話を聞いたのが、今の氷晶結合タンパク質研究をはじめたきっかけです。
私が所属する物質科学工学科は工学部ですが、生物を学ぶことができます。生物以外にも材料や化学についても学べますので、大学入学後に学びたい分野、やりたい研究を選択できます。
また、大学がある茨城県は、世界に誇る大型放射光施設や加速器施設がありますので、こういった施設を利用した世界最先端の研究をできるのも魅力的なところと思います。
具体的なテーマではなくてすみませんが、実際に実験をしてその楽しさに触れることが大事と思います!私たちは遺伝子組換え実験をやってるので、高校ではできないかもしれません。
ただ、大学や都道府県では、高校生向けの講座が提供されていて、実験できる機会があります。ぜひこのようなイベントに積極的に参加し、実験の楽しさを体験してみることをおすすめします。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 物理学 |
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Q2.一番聴いている音楽アーティストは? Buju Banton『Untold Stories』 |
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Q3.感動した/印象に残っている映画は? 『Once Upon a Time in Hollywood』、『Green Book』 |
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Q4.好きな言葉は? 守破離 |