小・中・高等学校の各教科を通じて教えられる内容や指導方法、評価の仕方、教員の授業テクニックなどについて研究する学問を、教科教育学といいます。扱うテーマには、「この授業はもっとこんな内容を追加すべきではないか」、「こんなふうに授業を展開すると子どもたちの学習効果が上がるのではないか」、「グループ学習を効果的に取り入れるにはどうしたら良いか」、「海外ではこういった内容や指導が取り入れられているので、わが国でも参考にしてはどうか」など、様々です。数学教育の分野の中では、最近、「統計」「データサイエンス」の活用が注目を集めています。私は特にこの分野の教育に取り組んでいます。
統計によるデータ解析を取り入れた授業実践~小学校での忘れ物調べ~
例えば、コロナの現状を把握するためにも、様々なデータが毎日分析され報道されています。AI時代と言われるように、AIが様々な仕事をしてくれますが、そのシステム構築にはデータサイエンスが必須です。それなのに小・中・高等学校で教えられる統計の内容は、そういった最先端のニーズに対応したものにはなっていません。
そこで、小学生が自分たちの生活を改善するためにデータサイエンスを活用する授業実践を行いました。みんなの忘れ物を減らすために、忘れ物が多い人と少ない人で、生活習慣や心がけにどんな違いがあるか、データを集めて子どもたちが分析しました。すると、ハンカチやティッシュ忘れについては前日に準備するのはあまり効果がなく、出かける直前に確認することの方が大切だということが分かりました。身近な問題にデータサイエンスを用いて取り組む経験は、大人になった時には社会の問題に取り組む力につながっていきます。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→教育、教育関連企業
- ●主な職種は→小・中・高等学校教員、教科書出版社、スクールカウンセラー
- ●業務の特徴は→教育に関する専門性を生かした仕事
分野はどう活かされる?
子どもに接する仕事を中心に、学んだことが活かされています。
残念ながら、教員はブラック労働という認識が広く行き渡っているようです。確かに仕事量が多く、心理的な負担が多いところもありますが、業務改善も着実に進んでいます。子どもたちの笑顔と成長に触れられることを、とても楽しんでいる先生たちもたくさんいます。ちょっと苦労はあるけれど、それ以上のやりがいも感じられる仕事なので、興味があったらぜひ一歩踏み出してみてください。
学生のほとんどが教員志望です。1学年800人近く、大学全体では3000人以上の教員志望の学生さんが集まっていて、将来は東海エリアを中心に、各地で教員になっていきます。教員になってからも一緒に頑張れる同志たちと出会い、お互いに切磋琢磨しています。