弱い日本の強い円

佐々木融

国力を定義して捉えようとすると忍耐と強引さを必要とするが、強い国の貨幣が強くなることは必然ではない。ドル円レートはこの40年間、趨勢的に円がドルに対して強くなってきたが、外為レートは巷で浸透している常識で説明するものではなく、外為マーケットの取引という現実そのものが動かしている。

現在は定義的に金(ゴールド)とのリンケージがない貨幣システムであるから、どの国の貨幣も宙に浮いた相対的な関係にある。難しい理論に興味を持つことも大事だが、現実感覚たっぷりの本書はおススメである。理論が現実を追い越してしまい、理論だけが「頭のいい」学者によって、半ば趣味のように、自身に都合よく構築される。これは大学の研究者が陥りやすい罠だが、中学・高校に通う方は、言葉だけの「実学」を謳う大学の広告に惑わされず、もっと現実からすくい上げる方法論を教えてくれる研究者に出逢ってほしい。 (日本経済新聞出版)

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