カラマーゾフの兄弟

ドストエフスキー

登場人物はみな欲望が深く、人としての一線を越えた人物ばかりが描かれているが、皆ピュアな魂を持っており、それぞれにとっての真実を追求している。「本当に神はいるのか?」、「いるとすればなぜ犯罪は起き、いないとすれば、なぜすべては許されるのか?」という問いに正面から向き合っているのだ。自分の身近にいる人と登場人物が重なることがあれば、著者の人間をえぐるような筆致に間違いなく感動を覚えるはずだ。個性は強いが人間的な父と兄弟の物語は、時代、国を超えて人間の真実に迫る。特に亀山郁夫訳は大変読みやすく、挫折せずに完読できるのでぜひ挑戦してもらいたい。 (亀山郁夫:訳/光文社古典新訳文庫)

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