人生論ノート
三木清
著者は京都大学の哲学者。「存在と時間」で知られるドイツの哲学者・ハイデッガーに師事。この本は昭和13年に雑誌連載という形で書き始められ、真珠湾攻撃の年に刊行された。「死について」、「幸福について」など含蓄にあふれた23章からなる。「死について」には「死に対する準備というのは、どこまでも執着するものを作るということである」と書いている。戦争末期、仮釈中の治安維持法の容疑者をかばったという理由で、刑務所に収監された。終戦後の9月独房の寝台から転がり落ちて死亡しているのを発見された。終戦から一ヶ月余が経過していた。それは占領軍当局を驚かせ、この件を契機として治安維持法の急遽撤廃が決められたという。
(新潮文庫)
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