水素を覗くと宇宙が見える
J.S.リグデン
ビッグバン理論によれば、宇宙の初期において存在した最初の物質は、単体の陽子でできた水素原子(軽水素)と単体の中性子だけだったという。水素と重水素を非常に強い力によってぶつけると、その二つの元素が合成されてヘリウムが作られる、という具合に原子核合成が徐々に行なわれ、今日、地球上の自然界を構成する多くの元素が作られていった。その後の物理の歴史のなかでも、水素は大きな役割を占めているという。この本は題名のとおり、原子の中で最も単純な構造をもった水素原子がいかに物理学にとって重要かを教えてくれる。それによって20世紀の物理学が発展してきた歴史についても知ることができる。
(上野時宏:訳/シュプリンガーフェアラーク東京)
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