豪華客船タイタニックといえば、20世紀最大の海難事故として有名です。1912年4月14日、建造されて初めての航海中、北大西洋上で沈没し多数の犠牲者を出しました。しばしば映画化され、世界的にその名を知られています。タイタニック号の事故は、北大西洋上の氷山にぶつかって沈んだことが原因です。なぜ新しい豪華客船が沈没することになったのでしょう。当時は船を作っている鋼が、低温でもろくなることが知られていなかったのです。現在は、鋼にいろいろな元素を加えたり、鋼の組織を上手に制御したりしています。
結晶粒が1ミクロン以下になると、これまでの常識が通用しない
私の専門は結晶塑性学といいます。原子が同じ方向を向いた領域を結晶粒と言います。この結晶粒が小さくなり1ミクロン以下になると、これまでの常識と異なることが明らかになってきました。私は、なぜ元素や組織が低温でもろくなるのか、原子運動の挙動に着目して追求しています。そのために、極低温での破壊試験や電子顕微鏡を使って、材料が変形するときや壊れるときの原子の動きを観察しています。
材料を安全に使うためは、それらが使用できる限界の状態を知らなければいけません。それを知ることによって、様々な材料開発も進み、また、より安全な社会の構築に貢献できると考えます。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→金属・鉄鋼・重工・半導体・自動車
- ●主な職種は→研究職・技術職
- ●業務の特徴は→材料開発研究
分野はどう活かされる?
素材メーカーでの新材料・技術の開発
我々は、変形や破壊について研究をしています。材料の限界を知る事によって、その良さを最大限に活かすことできます。物事の本質に迫る「なぜ?」という問いが好きな皆さん、ぜひ一緒に研究を進めていきましょう。
物質科学工学科では、物理・化学を基盤にして材料に関する研究を行っています。物理・化学を「ものづくり」にどう活かすのか、学びたい高校生にお勧めです