自動車やバイク、スマートフォンやパソコンなど、身近で便利に利用している製品は、全て良い品質で、かつ、その価値に見合った価格になるように作り出されることが要求されます。そのために製品を作り出す機械も良いものである必要があります。これらの製品や部品を作り出す技術を支えているのが生産工学・加工学です。良い品物を効率よく生産するには、常に新しい技術が必要です。ものづくりは、いつの時代も最先端技術が採用されているため、生産工学・加工学も常に日進月歩でなければなりません。
加工が難しい航空機用部品に挑む
私は、これまで加工の難しい材料の高精度・高能率加工技術の開発に取り組んできました。技術進歩にともなって、航空機用部品などは新しい材料が開発されています。これらの材料は耐久性や耐衝撃性が要求されるので、加工することが難しいです。この場合、加工するための工具の精度を高める必要があります。精度のすぐれた工具を用い、よりよい加工する技術を開発することが、よい製品を作り出す第一歩なのです。それによって、将来は材料開発と相まって、例えば、落としても壊れないスマートフォンや、衝突しても安全な自動車、墜落しても壊れない人工衛星などに発展していくことが期待されます。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→製造業
- ●主な職種は→生産技術職、設計・開発職
- ●業務の特徴は→企業の製品製造技術の構築や生産管理、製品設計や製品開発を担う役割
分野はどう活かされる?
大学の研究室で培った加工技術の経験を活かして、実際の企業における生産技術の構築や改善をする者、製品設計や製品開発に携わる者が多数います。工業高校や中学「技術」の教員になった者も複数います。
日本の優れた“ものづくり技術”は、人々の生活が便利になる製品を品質良く作り出します。製品を作る機械もまた、品質の良い機械によって作られます。この基盤技術である機械加工は、常に先端的に変革され、次々と新しい技術が必要とされています。一緒に研究活動に取り組み、ものづくりの大切さと面白さを感じ、社会に貢献する人材、世界をリードする技術者になって欲しいと思います。
ものづくりの基盤技術は、機械加工技術であると考えています。この技術の進歩が日本の製造業はじめ、世界中の産業界の発展につながります。技術は机上ではなく、実際に実務上の問題点を体験することで、新しいアイディアが創出されることが多いもの。本学では「実工学」を掲げており、充実した設備を駆使した教育・研究が受けられることが特徴です。学生が1年次から3年間で工作機械のすべての部品を作り出して一人一台完成させる授業などもあり、現在の生産技術を体得でき、それは4年次での卒業研究・大学院研究の基礎となっています。
また、本学には工業技術博物館があり、ほとんどの工作機械が動態保存されています。生産技術について、過去から現在の技術、将来の技術開発に至るまでの一気通貫型の教育・研究を実施できるため、生産工学・加工学を習得して産業界で活躍する力を養うことができる環境があります。