日本語と韓国語は、語順や文法が非常に似ています。例えば、「僕は昨日図書館で勉強した」という文のそれぞれの単語を韓国語に置き換え、そのままの語順で並べれば韓国語に訳すことができるのです。つまり、「偶然にしては似過ぎている!」。しかし、それほど似ているのに、同じ言語から派生したといった言語系統的な関係は立証されていません。
韓国語には間接受身や受益構文がない
一方で微妙な違いもあり、「昨日は雨に降られた」のような間接受身は韓国語には存在しませんし、「作ってもらった」のような受益構文も発達していません。私が特に力を入れているのが、こうした日本語と韓国語の対照研究です。
興味深いことに、これらは日本語と古い時代に分れた琉球語にもありません。これらがどのような言語の本質的な違いに由来するのかがわかれば、両言語が共通の祖先を持っていたと仮定した時、2つの異なる言語に分かれた時代や経緯を推定できる可能性があります。また、実用的な側面からいえば、現在でも比較的精度が高いといわれる日韓間の自動翻訳のさらなる精度向上にもつながります。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→製造業
- ●主な職種は→様々
- ●業務の特徴は→業種や職種にはあまり一定の傾向はないが、外国語能力や言語表現能力が必要な業務に就いている学生が多い
分野はどう活かされる?
英語を始めとする外国語の能力が高い人が多いので、商社・メーカーの輸出入業務、金融機関の外為業務、教育機関なら外国籍の子弟の支援業務などで活躍している卒業生が多いです。
高校生のみなさんには語学と言語学の区別もつきにくいと思います。実は、語学は学問というよりスポーツに似た技術であるのに対して、言語学はことばの仕組みを考える学問です。とはいえ、語学に興味がある人は言語学をやるにも有利だといえます。私のゼミではことばにこだわりのある人を求めています。
私が所属する南山大学人文学部人類文化学科は、(1)文化人類学、(2)歴史学・考古学、(3)哲学・人間学(言語学含む)を3つの学問の柱として多角的に「人間とはいかなる存在か」という問いに答えようとしています。アメリカでは伝統的に言語学は人類学の一部という位置づけでしたし、意味や論理の問題など哲学との接点も深く、ヒトという種の進化と言語能力の発展の関係の解明がホットな問題なので、言語を通してそのような問いへの答えに迫るにはたいへん望ましい環境です。さらに、完全指導教員制を敷いているので、学生の指導もきめ細やかです。