インドやパキスタンなど南アジアではどのような言語が使われているか知っていますか。例えば北インドのヒンディー語を話す人々は、日本語では「ダ」としか表記できない音を4種類の「ダ」の音で発音し分けるのです。私は、主にインドやパキスタンで使われているウルドゥー語とスィンディー語という、日本語とは様々な点で大きく異なる言語の特徴を研究しています。
動詞の使い方に注目
とは言っても、動詞の使い方には面白い共通点もあります。例えば日本語で「上がり込む」とは言えますが、「下がり込む」とは言いません。ウルドゥー語やヒンディー語でも似たような現象が見られます。どのような動詞の組み合わせが可能で、どのようなニュアンスの違いがあるのかといった、動詞構造に最近は注目しています。
日本人が外国語を学ぶとき「どうしてそうなるの?」という壁にぶつかることがありますが、こうした言語構造の特徴を理解することで、その疑問を解消することもできます。外国語(特に英語以外)の言語を学ぶということは、日本語を見つめなおす機会にもなります。言語学者の多くが、最後には母語の研究に戻ると言われています。ふだん意識していない日本語の面白さや特徴も、外国語を学ぶことで見えてくることがあります。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→教育・学習支援業、卸売業、製造業など
- ●主な職種は→教員、海外駐在など
- ●業務の特徴は→専門とする言語に関係なく、外国、外国語に関係する職業が多い
分野はどう活かされる?
外交官や各企業の海外駐在員、英語、社会科などの教員として、大学で学んだ知識を活かしています。
外国語を学ぶということは、その言語が話されている国や地域のあらゆる事象を学ぶということです。英語が広く通用する今の世界ですが、彼らがふだん使っていることばを理解することは、おたがいの距離を一挙に縮められる一番いい方法です。また、言語学を知ることで、外国語を習得する際の「ツボ」を知ることができるでしょう。
東京外国語大学では、世界でも例を見ないほど多くの言語の教育研究がなされています。入学してすぐに、専門とする言語の授業が始まります。どの言語も1クラス30人以下の少人数教育が徹底され、言語のみならず、その言語が話されている地域の文化や社会、また国際関係等についても詳しく学べる、唯一無二の大学と言えるでしょう。世界各国からの留学生も多く、日本語、日本文化の研究拠点としても脚光を浴びています。日本と外国をつなぐ架け橋という重要な役割を担っていると言えるでしょう。