16世紀のヨーロッパでは、宗教改革が起こり、それまでのカトリック教会の腐敗や堕落を非難し、宗教美術を否定します。カトリック側はそれに対抗してカトリック改革という大規模な改革を行い、美術を積極的に振興します。当時の絵画はほとんどが宗教画であり、教会や聖職者の要望で描かれるものでした。
そこで私は、革新的なイタリアの画家カラヴァッジョを中心に、この時代のバロック期の絵画が聖職者や民衆にどう受け入れられ、どのように宗教美術を変化させ、人々の美術に対する考えが変化したかを研究しています。近代社会になっても、宗教的な感情は形を変えて美術に流れ込んでいますが、そういった観点から幅広く近現代美術についても研究しています。
また、カトリックの美術への影響はヨーロッパだけでなく、イエズス会によってカトリックがもたらされた日本や中国にも伝播されています。そこで、マカオのキリスト教美術や日本の南蛮美術の研究も行なっています。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→美術館・博物館などの教育・学習支援業
- ●主な職種は→学芸員、研究員
- ●業務の特徴は→美術館・博物館での企画・運営・研究
分野はどう活かされる?
美術館・博物館の学芸員として、自分の専門とする分野において論文を書き、展覧会や展示という形で世に問うことができるだけでなく、専門外の分野も担当して自分の知見と経験を拡大することができます。
美術史という学問は、高校までは存在しません。実技の「美術」とはまったく異なり、歴史的に美術作品を読み解く人文学のひとつです。大学の文学部で出会うことのできるもっとも面白い学問だと言われています。