美学・芸術諸学

国際的ピアニストの音楽観と教育観に迫る


山下薫子(坂田薫子) 先生

東京藝術大学 音楽研究科 音楽文化学専攻 音楽教育研究室

どんなことを研究していますか?

音楽を奏でたり鑑賞したりすることは、人間の身体や精神にどのような作用をもたらすのでしょうか。その内的メカニズムを明らかにすることで、よりよい音楽の指導方法を検討したり、音楽を学習することの意義を明らかにしたりする音楽教育学を専門としています。

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これまで、音楽家の教育方法からも学ぶために、戦後のピアニスト園田高弘に焦点を当てて研究してきました。高弘はベートーベンの全曲連続演奏を実現するなど、レパートリーの広さでも評価されていますが、教育者として尽力していたことはあまり知られていません。

そこで、彼の遺した蔵書や使用楽譜の解析、弟子へのインタビューなどを行いました。絶対音早教育の創案者として知られる園田清秀を父にもつ高弘が、どのような音楽教育観をもっていたのか、その一端を明らかにすることができました。また、研究をする上で彼の所蔵楽譜を全てデータベース化し、貴重な歴史資料として後世に残すことができました。

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→教育関係
  • ●主な職種は→教員、音楽の教員養成、保育者養成、ピアノ指導者など
分野はどう活かされる?

学部までに身につけた実技の能力と、大学院で習得した研究の能力を融合させて、音楽教育の諸問題に取り組んでいます。

先生から、ひとこと

音楽と出合い、音楽を学ぶという機会は、日常生活の中にあふれています。音楽教育やその学習を特別なことと捉えるのではなく、身近な事柄の中に、その芽を探してみてはいかがでしょうか。

先生の学部・学科はどんなとこ

東京藝術大学では、芸術を愛する学生たちが、その技能や理論を身につけるために、日々努力しています。私が所属する音楽教育研究室は、大学院の独立講座なので、学部までに身につけた知識や技能に磨きをかけつつ、さまざまな環境で営まれる音楽教育や音楽学習について研究を深めています。

先生の研究に挑戦しよう

(1)現代社会における音楽と音楽家の役割を考えてみましょう
(2)お気に入りの音楽を解剖しよう

興味がわいたら~先生おすすめ本

音楽心理学入門

星野悦子:編著

音楽的な行動や体験の理解をめざす音楽心理学の入門書です。私たちは、どのように音楽を認知したり、記憶したりするのか。音楽によって感情が揺さぶられるのはどういうことなのか。そんな音楽的な行動について、認知、情動、神経科学との関わりなど、多様な側面から知ることができます。また、音楽の好みと社会の関わり、子どもの発達過程と音楽行動の関連、音楽療法といった話題も解説しています。私は、演奏の心理について寄稿しています。 (誠信書房)


ジュニア楽典

山下薫子

「知識」というと基礎から1つ1つ積み上げるイメージがありますが、私たちはすでに「音楽」の面白さや不思議さを知っています。その心の中に膨らんでいる思いと楽典の知識とを結び付けられるような本にしたいと思って書きました。音の物理的特性から音楽史まで幅広く網羅し、コラムなども豊富に収録しています。読みながら自分で気づいたことをどんどん書き込んでいって、長く付き合っていただけたら嬉しい1冊です。 (音楽之友社)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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