機械、建築物、電気製品から人間の身体まで、あらゆるものが「材料」で作られています。材料の中で、力や形を受け持つ「構造材料」は、人間の身体で言えば、骨や筋肉になりますが、その強さ、硬さ、強靱さなどの特性が重要です。
材料は外力で壊れますが、外力だけでなく、材料自身の内部にも力は発生し、内力だけで破壊する場合もあります。そのため材料を壊さずにその強度を測る必要があります。非破壊的に材料内部の力の状態を調べる学問「X線材料強度学」はこの10年で新たに発展し、検出器も大きく進歩しています。
測りにくかった金属溶接部にかかる力も測れる
私の研究は、その1つ、X線回折測定法を用いた測定法の研究です。X線は波長の短い電磁波なので、結晶の格子面の間隔を測定できます。この方法なら、X線をその材料に照射するだけで、実物の材料内の力の状態を非破壊的に測定することができるのです。
研究室だけでなく、世界屈指の研究施設も積極的に活用して学生諸君と研究しています。大型放射光施設(Spring-8)のシンクロトロン放射光や大強度陽子加速器施設(J-PARC)の中性子を使って、泊まり込みで研究することも年数回あります。
とりわけ溶接部の強度の測定は、溶接により溶接部材自身に内力(残留応力)が発生するので重要です。従来は難しかった測定が、X線回折測定の2次元検出器の登場で可能になり、溶接部の強度信頼性が格段に向上しています。原子力ブラントなどのひび割れ事故も予防することができるようになるでしょう。材料の加工方法や接合方法は次々開発されており、また新素材も複合材も開発されています。そのための新しい部材の強度の研究はとどまることがありません。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→学校
- ●主な職種は→小学校、中学校の技術科、数学の教員
- ●業務の特徴は→教育
分野はどう活かされる?
幅広い学問の基礎に立ち、特に物理、数学、情報など基礎的力を生かし、教員として活躍しています。学問に依拠して、技術が発展していること、数学や理科や技術が、いかに社会を支えているかをしっかり教えられる教師になれます。
物事の根源にさかのぼり、その本質からまた組み立てることは、どの学問にも共通したことです。大学で学問を学び、卒業研究でそれを体験してみませんか。
新潟大学のキャンパスのすぐ目の前には海岸線が広がっています。新潟は、農業、漁業など食の文化も豊かです。山間部は雪も多くスキーも楽しめます。物価も低く、暮らしやすいのが新潟大学の立地の良さです。10学部からなる総合大学であり、いろいろな学問が集まっています。