地球環境に優しい原料でプラスチックを! ~植物由来ポリマーの開発
プラスチックの製造段階に注目
みなさんの暮らしを支えているプラスチックは、その製造、消費、廃棄のいずれの段階においても地球環境と密接なつながりを持っています。地球環境に悪影響を与えないように、プラスチックと向き合っていく必要があります。
その中で、私たちは製造の段階に注目しています。従来のプラスチックは、石油を原料として製造されます。石油は限りある資源であるとともに、石油から作られたプラスチックを焼却すると地球温暖化に影響を及ぼす二酸化炭素の発生を促します。
触媒や溶媒を使わないポリマーも
私たちは、地球環境に優しい原料や合成法でプラスチックの主成分であるポリマーを開発することを目指して研究を行っています。
たとえば、植物などの再生可能資源を原料としたポリマーの開発が挙げられます。また、触媒や溶媒を用いないポリマーの開発が挙げれらます。触媒を用いる場合も、環境と調和できる触媒を用います。
柑橘類から吸水性ポリマーや接着剤を開発
現在、柑橘類精油成分を原料とした植物由来ポリマーの開発に力を入れています。柑橘類精油の主成分はリモネンという化合物です。リモネンを化学反応でポリマーの原料へ変換し、その重合によって様々な機能性ポリマーの合成を行っています。吸水性ポリマーや接着剤、発泡体などを開発してきました。
今後は、植物由来であり且つ必要に応じて分解できるポリマーの開発を目的として研究を進めていきます。
小学生の頃は、顕微鏡で微生物を観察することや望遠鏡で星空を観察することに興味がありました。大学生になってからは微生物を用いた水処理に関する研究に興味を持ち、地球環境に関わる仕事を夢見ました。大学院を修了してからは、地球環境保護に役立つモノづくりを行いたいという気持ちが強くなり、有機合成・高分子合成分野の研究を行っています。地球環境に配慮した原料や合成法でポリマーを作ることに面白みを感じています。
「セルロースナノファイバーによる植物由来ポリウレタン発泡体の流動性・発泡性制御」
◆ 森長研究室HP