食・農学系の本

地球温暖化の予測は「正しい」か? 不確かな未来に科学が挑む

江守正多

著者は気象学者。コンピュータシミュレーションによる地球温暖化の将来予測を専門とする。二酸化炭素排出などの削減で森林科学においても注目すべき「地球温暖化」問題について、気象学者の観点から、比較的冷静にわかりやすく解説している。地球温暖化については、危機を強調する物から懐疑論までまったく主張の異なる数多くの著作が出版されており、読み比べてみると科学的な思考過程にも大きな違いがあることが認識できる非常に興味深い課題。その際に、一読しておくと参考になる本だ。 (DOJIN選書)



チョコレートを滅ぼしたカビ・キノコの話 植物病理学入門

ニコラス・マネー

表題のチョコレートとは原料のカカオのことだ。カカオ栽培が、カビ・キノコの病害で激減したことを指している。この本は、ほかにも歴史上破滅的な被害をもたらした菌類による植物の病気について記載している。植物病理学について歴史を通して触れることができる。この本を読むと、植物の病気について研究し、その病気に対する防除法を開発する「植物保護科学」の重要性が理解できる。 (小川真:訳/築地書館)



魚の世界 ミクロからマクロへ

小島吉雄、高井明徳

魚の分類や遺伝子、進化の過程などについて、幅広く知ることができる入門本。日本人にとって身近な食材である魚介類には、様々な科学の手法をつかって生態学的・生理学的な特性を解明する世界がある。それに取り組む魅力を知ってほしい。 (裳華房)



もやしもん

石川雅之

菌が見える特殊能力を持つ青年が、農大でカビや酵母などの様々な菌に出会う漫画。様々な菌がコミカルにキャラクター化されて描かれており、微生物に興味を持ってもらえるだろう。微生物そのものや、微生物と食品の関係、微生物と生活の関係のイメージを持つのにも役立つ。 (イブニングKC)



おいしい穀物の科学

井上直人

著者は作物生産科学という学問から、「穀物の美味しさは風土によって作られる」と言う。風土とは土壌、水、風、精密な栽培技術などのことで、それらの要因と相関関係を研究。勘に頼った穀物栽培から脱出し、おいしい穀物の科学をめざす。現代の作物とその生産の特徴や食品としての特徴、さらには地球温暖化への対応、環境負荷の少ない栽培技術についてわかりやすく解説している。 (ブルーバックス)



動物のお医者さん

佐々木倫子

札幌市にある「H大学獣医学部」を舞台に、獣医師をめざす学生の日常をコメディタッチで描いている。ある獣医学系の現役の研究者によると、「獣医学生の日常を描いた漫画ですが、現実にもこんなおかしな先生は大学にいっぱいいます」とか。しかしなんといっても、動物の絵が上手く、ため息が出るほどリアルだ。文庫全8巻 完結セットも出ている。 (花とゆめコミックス)



フグ毒のなぞを追って

清水潮

フグ毒は、テトロドトキシンという神経毒だ。古来よりフグ毒に当たって亡くなった人は多数いるが、同じ種類のフグであっても育った環境によって毒の量が極端に異なることがわかってきた。外の環境と一切接触させることがないようにフグを完全養殖すると、ほとんど無毒の養殖フグができるという。本書では、海洋生態系や海洋微生物、そこでの食う・食われるといった食物連鎖の関係、魚類の完全養殖について解説しており、これらを知らず知らずのうちに学ぶことができる。 (裳華房)



ミジンコはすごい!

花里孝幸

ミジンコの生態を中学生程度を対象に解説した本だが、大人が読んでも非常に分かりやすく興味深い。ミジンコというきわめて小さな生物を通して、その生存戦略や生態系における重要性、我々人類の自然への接し方を考えさせられる。 (岩波ジュニア新書)



ロレンツォのオイル/命の詩

副腎白質ジストロフィーという難病の子供を救うべく、両親が賢明に研究を行う。そして特定のオイル(エルカ酸とオレイン酸からなるもの)を用いた食事療法により、症状の回復に至った実話を映画化したもの。栄養学の役割を再認識させられる秀作。 (ジョージ・ミラー:監督)



ふしぎの植物学 身近な緑の知恵と仕事

田中修

植物にまつわる様々な現象の不思議を、わかりやすく紹介している名著である。基本的な芽吹きから成長の部分はもちろん、植物とストレス、虫や病原菌、季節をどうやって知るか、どのように生殖するかなど、知っているようで知らない、植物たちの生きる知恵を確認できる。 (中公新書)


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