一九八四年

ジョージ・オーウェル

“ビッグブラザー”と呼ばれる独裁者による全体主義的監視社会を描いた、近未来SF小説です。出版から70年が経ちますが、未だに色褪せず現在でも近未来小説といえるかもしれません。この小説の社会では“テレスクリーン”なる装置によって行動が監視され、日課として組み込まれた“二分間憎悪”の時間によって、反政府主義者を敵として憎む心が醸成され、“ニュースピーク”という言葉のルールによって、国民の思想は政府に都合の良いように管理されています。それに疑問を抱く人はほとんどいません。しかし“真理省”の役人として歴史記録の改竄作業を行う主人公ウィンストンは、政府に疑問を持ち始めます…。

一見、荒唐無稽な設定のように思われるかも知れません。しかし、この作品で描かれる人と社会の有り様は、人の心が社会の影響をどのように受けるのか、また、人の行動が社会をどのように創っていくのかを考える社会心理学の知見と、見事なまでに整合的です。今、この時代に読むべき1冊だと思います。 (高橋和久:訳/ハヤカワepi文庫)

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