葛藤する形態 第一次世界大戦と美術
河本真理
第一次世界大戦は日本では影の薄い戦争と捉えられがちです。しかし実は、第一次世界大戦こそが私たちが生活している「現代世界」の基本的な枠組みを作り出した出来事だったのではないでしょうか――依然として私たちは、大量殺戮・破壊によって特徴づけられる「ポスト第一次世界大戦の世紀」を生きているのです。
第一次世界大戦前後は、美術にとっても重要な、様々な傾向が同時に噴出した時代でした。本書は、第一次世界大戦と美術の関わりについて、その社会的背景をも含めて多面的に考察することによって、〈現代〉戦争はどのように表象されるのか、そして戦争が美術に対して持ち得た意味とは何かを探ります。美術用語の解説や、第一次世界大戦関連の年表も付いています。
(人文書院)