日本の歴史15 大名と百姓
佐々木潤之介
筆者は、幕藩体制論、軍役論、世直し状況論などを展開した戦後歴史学を代表する日本近世史の研究者。専門書とは異なるわかりやすい文章で、学生時代に発見した古文書の話から、ドラマチックに近世社会の幕開けを叙述する。本書から歴史ストーリーだけでなく、古文書を保存することで地域や日本の歴史を伝えることになること、何でもない文字から人々の歩みを復元できることなど、歴史学や史料保存の意義や方法論も学んでほしい。大学で行う真の歴史学とは、過去の事象を暗記することではなく、歴史と未来を創造することであるから。
(中公文庫)