オスカー・ワオの短く凄まじい人生

ジュノ・ディアス

アメリカには、ヒスパニックと呼ばれるスペイン語圏からの移民が多いことは聞いたことがあると思います。この小説では、母親がドミニカ共和国出身の、オタクでモテない青年オスカーが主人公です。こんなに面白く、衝撃的に残酷で、でもとても切ない小説を、ほかに知りません。

ドミニカ共和国の独裁者トルヒーリョに翻弄され、離散した家族の人生が、ポップなノリと複数の登場人物の語りで明らかになっていきます。英語とスペイン語が渾然一体となった作品ですが、カタカナでスペイン語のルビがふってあるので、2言語が混交した独特の文体を楽しむことができます。「スパングリッシュ(Spanish + English)」やカリブ文化、アニメやSFなどのサブカルチャーを扱った文学に興味がある人には、特におすすめです。 (訳:都甲幸治、久保尚美/新潮クレスト・ブックス)

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