ヒトラー演説 熱狂の真実

高田博行

ヒトラーの演説と言うと皆さんは、「大きなジェスチャーに国民が熱狂した」と思うのではないでしょうか。本書はこのイメージを崩していきます。ジェスチャーだけが熱狂の理由なのではなく、演説で語られたことばそのものにも秘訣がありました。断定で反論を封じ、繰り返しで耳に流し込み、誇大表現で頭に叩き込み、曖昧表現で言いくるめて、聴衆の心理を操りました。

国民がヒトラーの演説に熱狂したのは、一時期に限られました。演説のラジオ放送を聞くことが義務にされることで演説が飽きられ、戦争が始まってからは、演説内容の嘘に国民が気づき始めたからです。本書は、言葉で成り上がった独裁者が言葉でつまずいた真実を暴いています。 (中公新書)

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