疫病と世界史
ウィリアム・H.マクニール
著者はカナダ出身の歴史家。代表的著作に「世界史」がある。それに対しこの本は、世界の文明の興亡を疫病という視点で捉え直ししている。上巻は狩猟の時代から紀元1200年頃まで、下巻はそれ以降から現代まで。例えば14世紀猛威を振るったペストは世界の人口を激減させたが、著者は、ヨーロッパ文明を地中海世界から北の諸地方に移行させたのは、その後も長いあいだ繰り返されたペストの流行が果たした役割が非常に大きいという。なぜなら、ペストの流行する地域は、地中海の港湾諸都市からすぐ近くの、ペスト菌が容易に到達できる地域にほぼ完全に限定されていたからとしている。ペストや天然痘が世界史にどのような影響を与えたが書かれ興味深い。
(佐々木昭夫:訳/中公文庫)
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