脳には妙なクセがある
池谷裕二
脳は見たり聞いたりしたことを瞬時に理解し、次にどのような行動を取るべきかを判断している。脳内でどのようなことが起こっているかは不明な点は多いのだが、最近明らかになってきた脳の不思議な活動が述べられている。例えば、恋をすると脳の処理速度が早くなる話、寝ている間に記憶が定着する話、言語を獲得するきっかけとなった遺伝子の話など。筆者は周囲の環境から受ける刺激とそれに対する反応行動が基になり心が形作られてきたと考察している。これまで哲学や心理学といった文系領域で取り扱われてきた脳の働きや精神活動も、今後生物学的な知見に基づいて理解されることにより、精神疾患に対する新たな治療法が開発されると期待される。
(扶桑社新書)
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