知能情報学

ヒト・モノが生み出す大量データから、有用な知識を取り出す~データ科学研究


竹内一郎 先生

名古屋大学 工学部 機械・航空宇宙工学科/工学研究科 機械システム工学専攻 (記事公開時は、名古屋工業大学 工学部 情報工学科)

どんなことを研究していますか?

ビッグデータの時代になり、データ科学と呼ばれる研究が、ヒトやモノが生み出す大量のデジタルデータから有用な知識を取り出す科学技術として、盛んになっています。膨大なデータを分析するためには、「機械学習(マシーンラーニング)」と呼ばれる技術が必要です。マシーンとはコンピュータのこと。コンピュータが自ら学習し、データに潜む知識を取り出したり、分析したりします。最近いろいろなところで話題になっている人工知能は機械学習を用いて作られています。ビッグデータの傾向を機械学習によって学ぶことで、いろいろな判断をコンピュータが自動的にできるようになります。様々な分野のビッグデータから知識を得るためには機械学習、人工知能の技術が不可欠です。

データ科学による医学の発展を目指して

image

私の専門は、データ科学、人工知能、機械学習と多岐にわたります。データ計測技術とデータ処理技術が発達したことで、様々な分野のビッグデータが得られるようになりました。その一例が、医療情報・生命情報に関するデータ科学研究です。生物学研究者との共同でゲノム情報の解析を行っています。データ科学がもっとも成功している分野は生物学かもしれません。医学以外にも物理学や材料科学にもデータ科学は役立ちます。例えば、望ましい物性を持った新しい材料を作成するために、データ科学を利用して新規材料を効率的に発見しようという「材料情報学」研究も始めています。

image

授業にて

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→電機、コンピュータ、自動車
  • ●主な職種は→研究開発技術者、システムエンジニア
  • ●業務の特徴は→コンピュータを中心とした業務
分野はどう活かされる?

研究室の卒業生の多くはデータサイエンティストとして、Web系企業などに就職します。データサイエンティストはデータ分析と人工知能のエキスパートで、これからの社会で活躍が期待されています。

先生から、ひとこと

これからは理系の人も文系の人も、人工知能と深く関わりを持つことになるでしょう。人工知能というと、何かすごいもので漠然とした恐れを抱いている人もいると思いますが、正しく理解して正しく使えば、私たちの未来を豊かにしてくれます。皆さんも人工知能について興味を持ったら、いろいろな本を読んでみましょう。また、コンピュータを使える人は、簡単なものでもよいので、コンピュータプログラミングから始めてみましょう。

先生の学部・学科はどんなとこ

名古屋工業大学の情報工学科では多くのプログラミング言語を学びます。人工知能などの高度なプログラミングには数学がとても重要なので、数学が好きな人は情報工学科が向いています。私たちの学科では、機械学習を使って人工知能を作る演習などもたくさんあり、人工知能を使うだけでなく、人工知能を作る能力を身につけることができます。

先生の研究に挑戦しよう

興味のある分野のデータを集め、そこから何か有益な情報を取り出せないかを探ってみましょう。

興味がわいたら~先生おすすめ本

脳・心・人工知能 数理で脳を解き明かす

甘利俊一

最新研究でわかった脳のしくみと、人工知能の未来を紹介。人工知能、脳科学などの最先端分野で、多くの学生が学んでいる数学がどのように役立っているのか、AI研究の基礎となった「数理脳科学」の第一人者が、わかりやすく、夢を持って解説する。 (ブルーバックス)


数学ガール

結城浩

「僕」とその友達が、高校の授業ではやらない本格的な数学に挑戦! 小学校から高校まで学んできた数学がどのように発展し、社会の役に立っているのか、とてもわかりやすく書かれている。シリーズ多数、コミック版もある。 (SBクリエイティブ)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。