ビッグデータの時代になり、データ科学と呼ばれる研究が、ヒトやモノが生み出す大量のデジタルデータから有用な知識を取り出す科学技術として、盛んになっています。膨大なデータを分析するためには、「機械学習(マシーンラーニング)」と呼ばれる技術が必要です。マシーンとはコンピュータのこと。コンピュータが自ら学習し、データに潜む知識を取り出したり、分析したりします。最近いろいろなところで話題になっている人工知能は機械学習を用いて作られています。ビッグデータの傾向を機械学習によって学ぶことで、いろいろな判断をコンピュータが自動的にできるようになります。様々な分野のビッグデータから知識を得るためには機械学習、人工知能の技術が不可欠です。
データ科学による医学の発展を目指して
私の専門は、データ科学、人工知能、機械学習と多岐にわたります。データ計測技術とデータ処理技術が発達したことで、様々な分野のビッグデータが得られるようになりました。その一例が、医療情報・生命情報に関するデータ科学研究です。生物学研究者との共同でゲノム情報の解析を行っています。データ科学がもっとも成功している分野は生物学かもしれません。医学以外にも物理学や材料科学にもデータ科学は役立ちます。例えば、望ましい物性を持った新しい材料を作成するために、データ科学を利用して新規材料を効率的に発見しようという「材料情報学」研究も始めています。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→電機、コンピュータ、自動車
- ●主な職種は→研究開発技術者、システムエンジニア
- ●業務の特徴は→コンピュータを中心とした業務
分野はどう活かされる?
研究室の卒業生の多くはデータサイエンティストとして、Web系企業などに就職します。データサイエンティストはデータ分析と人工知能のエキスパートで、これからの社会で活躍が期待されています。
これからは理系の人も文系の人も、人工知能と深く関わりを持つことになるでしょう。人工知能というと、何かすごいもので漠然とした恐れを抱いている人もいると思いますが、正しく理解して正しく使えば、私たちの未来を豊かにしてくれます。皆さんも人工知能について興味を持ったら、いろいろな本を読んでみましょう。また、コンピュータを使える人は、簡単なものでもよいので、コンピュータプログラミングから始めてみましょう。
名古屋工業大学の情報工学科では多くのプログラミング言語を学びます。人工知能などの高度なプログラミングには数学がとても重要なので、数学が好きな人は情報工学科が向いています。私たちの学科では、機械学習を使って人工知能を作る演習などもたくさんあり、人工知能を使うだけでなく、人工知能を作る能力を身につけることができます。