知能情報学

音楽でもっとコミュニケーションを!思考表現を!~音楽を計算して生み出す技術


平田圭二 先生

公立はこだて未来大学 システム情報科学部 複雑系知能学科/システム情報科学研究科 システム情報科学専攻

どんなことを研究していますか?

人どうしがコミュニケーションするときには、言葉だけでなく、表情やジェスチャ、絵や写真などを使いますが、音楽は考えや意図を表出する非言語メディアの代表格と考えられています。音楽を使って人のコミュニケーション能力を高めたい。そんな思いで、私が取り組むのは、音楽情報学(音楽情報処理)分野で、数を計算するように、音楽を自由自在に計算する技術です。

旋律やリズムを、音楽の四則演算によって作り出す

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我々は普段の生活の中で、例えば消費税、料理の調味料、家計簿など計算する時には四則演算を駆使して必要な数値を求めます。もし意図を込めたい旋律やリズムを、同様に音楽の四則演算によって作り出せたら、人の表現力はもっと広がるのではないかと思います。そうして、もっと手軽にいろいろな場面で音楽を使って自分の思考を表現できるようになれば、人は言葉だけでなく、音楽を通じても密にコミュニケーションできるようになるでしょう。

もしコンピュータが音楽を通じて人とコミュニケーションできるようになったら、世界はどんなふうに変わるでしょうか。どんなジャンルでも、どんなスタイルの音楽でも、楽曲の構成を認識できて、今は間奏の部分だ、ここはサビだなどが、わかるようになるでしょう。人の感情を揺さぶる音楽を創ることができるかも知れません。

その時、私が挑戦したい研究テーマが2つあります。1つめは、100年後も生き残っている音楽を、今現在の時点で判定することです。現在では、音楽の父と呼ばれているバッハでさえも、没したあとの約80年間は忘れられた存在でした。2つめは、いつまでも聴き飽きない音楽を創り出すことです。これまで数え切れないほど聴いた曲なのに、それでもなお新しく気付くことがあったという経験を持っている人は少なくないでしょう。なぜ音楽ではこのようなことが起きるのでしょうか。音楽情報学を駆使してこの謎に挑みたいと思っています。

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公立はこだて未来大学のモットーは「オープンスペース、オープンマインド」です。講義室、講堂、演習室、工房、図書館、体育館、事務局、教員室、生協食堂・購買部など、学内のほとんどの施設がこの写真のようにガラス張りです。誰もがいま学内で何が起こっているのかを一望の内に知ることになります。そこで学生自身も、世界に開かれた学びと学術活動を繰り広げていくのです。

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→情報サービス業
  • ●主な職種は→SE、プログラマ、研究開発
  • ●業務の特徴は→ものづくり
分野はどう活かされる?

やはりSE、プログラマ、研究開発等です。

先生から、ひとこと

どんなに大量の言葉を費やして音楽を表現しても、音楽そのものを再現することはできません。またその逆もありえません。音楽は音楽でしか伝達し得ない内容を伝達しているようです。音楽を通して人の知性の不思議に迫りましょう。

先生の学部・学科はどんなとこ

私は、複雑系知能学科知能システムコースに所属しています。このコースには、音楽をはじめ、ロボット、ビジョン、コミュニケーション、ゲームなどを研究対象とした教員が多く在籍し、人工知能や認知科学について広く学ぶことができます。教員には国内外で一流の研究者が揃っており、世界最先端の技術に触れることができるだけでなく、研究者的な考え方と行動を身につけることができます。研究者的な考え方と行動は、皆さんが将来どんな職業に就こうとも、社会に貢献して幸福な人生を送るために、最も身につけるべきものだと考えています。

先生の研究に挑戦しよう

似ているメロディを探してみよう。かっこいい和音進行を創り出そう。

興味がわいたら~先生おすすめ本

音楽・数学・言語 情報科学が拓く音楽の地平

東条敏、平田圭二

人が文を理解するとは、文中の単語がどんな構文を作っているかを理解することだ。音楽にも、文章同様に、構文がある。本書では、音楽理論をコンピュータ上のプログラムとして実現する方法を議論。もし実現できれば、人のように音楽を理解したり作曲したりするコンピュータが作れる。そのために必要な情報技術や言語理論について紹介している。対象読者は高校生から大学初学年程度。 (近代科学社)


西洋音楽史 「クラシック」の黄昏

岡田暁生

クラシック音楽はなぜこのようなスタイルになったのか。それを、社会、技術、情報など多角的な視点から、歴史を追って説明している。音楽が宗教的目的から設計され、次第にルネサンスを通して貴族の楽しみ、ブルジョワ、大衆、商業音楽となっていく流れがわかって面白い。音楽は考えや意図を表出する非言語メディアの代表格で、知能情報学の対象だ。音楽を理解するための一助に。 (中公新書)


人工知能が音楽を創る 創造性のコンピュータモデル

デイヴィッド・コープ

創造性を持つ人工知能は実現可能だろうか。この難題に現代音楽家かつ情報科学研究者でもあるデイヴィッド・コープが、一つの答えを提示した。創造性に不可欠な要素として、楽譜のデータベース、楽曲のネットワーク、連想、組み換えなどの概念を次々と指摘し、最後にそれらを統合している。創造性に関する多角的なサーベイも含まれている良書。 (平田圭二:監訳、今井慎太郎、大村英史、東条敏:訳/音楽之友社)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/総合科学技術・イノベーション会議の調査事業の一環としても、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。
各先生の所属など、掲載されている大学(学部・学科ほか)の名称は、2020年1月段階の調べによります。実際の進路選択等に際しては、各大学のHP等で改めてご確認ください。

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