美味しいものをお腹いっぱい食べたい、インターネットで買い物をしたい、スマホゲームで遊びたい…現代社会には、たくさんの誘惑があります。こうした誘惑に負けずに、自制心を働かせるにはどうしたら良いのでしょうか。このような自制心の問題は、心理学において「セルフコントロール」と呼ばれています。実験や調査を通じて、セルフコントロールに影響する要因をつきとめ、より良い自制心の発揮のために役立てようというのが、私の研究課題の一つです。
「将来のために勉強すべきなのはわかっているけれど、でもいまは遊びたい」といったように、二つの異なる気持ちのあいだで揺れ動く心を経験したことはありませんか? こうした心の状態を「葛藤」といいます。この葛藤を乗り越えて、「いま」の楽しさを求める気持ちよりも、「将来」のためになる行動を優先して実行するというのが、セルフコントロール(自制心)です。
当然のことですが、自制心の発揮は簡単なことではありません。なぜなら、私たち人間にとって、将来のことは遠くにかすんでしまいやすく、注意を払わなくなってしまいがちだからです。一方、すぐ目の前にある誘惑にはおおいに心惹きつけられて、釘付けになってしまいやすいのです。
さらには、「いまだけなら平気」「ちょっとくらいなら大丈夫」「あとでやればいいや」といった都合のよい言い訳をして、自分を甘やかしてしまうこともあります。
しかし、だからといって、つねに完璧にセルフコントロールすることが望ましいというわけでもありません。いつも自分に厳しく、すべての誘惑をしりぞけていたとしたら、それはそれで息苦しく、つまらない人生になってしまいそうですね。そしてあるとき、「もう耐えられない、どうにでもなれ!」といって、突然に自暴自棄なふるまいに走ってしまうという恐れもあります。
ですから、適切な自制心をキープしながら将来の目標に向けて努力を続け、かつ日々の楽しみも適度にエンジョイするといった、バランスのとれた生き方が大事になると思います。セルフコントロール研究を通じて、こうしたバランスのよい充実した生き方をサポートできればと願っています。
一般的な傾向は?
- ●主な業種→販売、メーカーなど多岐にわたる
- ●主な職種→営業、人事、事務など
- ●業務の特徴は→人と関わりあう仕事
分野はどう活かされる?
営業職をはじめ、どんな仕事であっても、社会心理学の知識を活かして、相手にわかりやすく情報を伝えるなど、様々な人たちと関係性を築く力が役に立っています。
社会心理学科では、社会心理学に関する様々な専門性を持つ教員が多数所属しています。学生は1年次からゼミに所属し、少人数のクラスで教員や学生たちと対話し、支えあいながら学習を進めることができます。