世界の砂漠化を監視する、日本発の観測ステーションを
乾燥地の緑化に貢献したい
世界の乾燥地における砂漠化の問題は、1970年代の後半に起きたアフリカ・サヘル地域の干ばつによって大々的に知られることになりました。
私が大学生だった頃は、植物を用いた「砂漠緑化」の研究が盛んな頃であり、鳥取大学の乾燥地研究センターには、たくさんの学生が夢を抱いて全国から集まりました。
私も、砂漠化問題に対して「農業と気象」の観点から貢献したいとの思いから、耕地と大気間における熱交換の研究に没頭しました。乾燥地ではいかにして水を節約して(限られた水を使って)作物の生産性を上げるかが、そこで生活する人々にとって大切なことだったからです。
砂漠化問題のグローバル化が急進展
2000年代に入ると、砂漠化の問題はよりグローバルになりました。特に、日本は乾燥地の国々から小麦等の作物を輸入しており、国連の砂漠化対処条約にも批准していることから、科学的な側面から砂漠化という環境問題に貢献することが期待されています。
世界のどこで砂漠化しているか観測
乾燥地研究の出発点は、どこの国のどの場所で砂漠化が起こっているのか随時把握することですが、これまでの私の研究の蓄積が役立つことになります。
気象データによって決定される気候学的な乾燥度合い、そして衛星データによって決定される実際の乾燥度合いを比較することで、砂漠化した土地を抽出するのです。
また、砂漠化を随時監視するための観測システムを作り、日本独自の監視ステーションを世界中に設置することで砂漠化の問題に貢献したいと考えています。
「乾燥地における土地劣化計測システムとモニタリング手法の開発」