核融合学

放射性物質「トリチウム水」の検出手法の開発


小林かおり 先生

富山大学 理学部 物理学科/理工学研究科 理工学専攻 物理学・応用物理学プログラム

どんなことを研究していますか?

核融合は、太陽の内部でも起きている、軽い原子が融合してより重い原子に変わる際にエネルギーを出す反応です。これを利用して発電を行おうと、フランスに日本も含めた国際協力で実験炉が作られ始めています。核融合炉では二重水素とトリチウム(三重水素)を核融合させることで莫大なエネルギーを取り出しますが、トリチウムは放射性物質です。その半減期は約12年と、短くありません。大気中に出てしまったトリチウムを検出することは、放射線リスクを考える上で重要です。

近赤外光を使った検出方法

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私は近赤外線分光法という方法で、トリチウムを検出方法について調べています。自然界に拡散したトリチウムは、速やかに水に取り込まれてトリチウム水になります。トリチウム水はトリチウムよりも1万倍人体への影響が大きいと言われています。トリチウム水の検出には強い関心が持たれています。放射性物質の検出には、放射線の計測器によって被ばくした放射線の数値を確かめる方法が一般的ですが、それ以外のこのような電磁波を使った検出手法を持つことは非常に重要です。

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研究室で開発した検出装置

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→製造業、IT系、中高教員
分野はどう活かされる?

教員は大学で学んだ物理が直結した仕事になります。一般的に物理の基礎をもって、問題解決にあたれるようになっていることが期待されていると思います。

先生の研究に挑戦しよう

直結しているとは言えないかもしれませんが、宇宙線をはじめとした放射線は身近に存在するので、放射性に注目して、測定してみることは可能だと思います。

興味がわいたら~先生おすすめ本

ご冗談でしょう、ファインマンさん

R.P.ファインマン

ノーベル賞受賞の物理学者、ファインマンによる傑作な自伝。いわゆる物理の法則を教えるものでも、ノーベル賞受賞について書かれているものでもなく、科学とその興味に関する自身の逸話が多く書かれている。読むと「科学は楽しい」と感じられるのではないだろうか。 (大貫昌子:訳/岩波現代文庫)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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