家栽の人
毛利甚八、作画:魚戸おさむ
家庭裁判所が舞台の漫画ですが、物語の根底にあるのは人間の成長・発達の無限の可能性を信じ、働きかけようとする「教育学」の思想です。シリーズの後半では、不登校の子ども、学校で荒れる子どもたちなど既存の「学校」という枠の中で悩み苦しんでいる子どもたちの目線から「学校とは何か」「なぜ自分は学校に行くのか」を考えていく話があります。
荒れる子どもたちにも、そうさせるわけ(学校のあり方、周囲の環境など)があり、その中で、より良く生きたいと願いながら悩み、行動しているということだけでなく、そうした子どもたちと向かい合う学校の教師たちの悩みや葛藤なども丁寧に描かれており、何度読んでも新鮮な気持ちになります。
その他の大人教育学の専門書以外でこんなことを感じさせてくれるのは、この漫画だけだと思います。ぜひ読んでみてください。
(小学館文庫)
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