カンポンボーイ

ラット

マレー半島(現在のマレーシアの半島部)で生まれ育った作者ラットの自伝的な漫画。1950年代のマレーの農村での、作者の少年時代の日常生活がとても生き生きと描かれており、ユーモラスに描かれた個性的な登場人物たちには吹き出しそうになる。同時に、村の背景が信じられないほど丁寧かつ細やかに描き込まれていることに驚かされる。娯楽漫画として読んでも最高に愉快だが、1950年代の農村の生活世界を知る第一級の画像史料としても、数多くの貴重な発見を得ることができる。マレーシアの歴史と社会を理解する上での最良の入門書。続編の『タウンボーイ』も読んでほしい。 (左右田直規:監訳、稗田奈津江:訳/東京外国語大学出版会)

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