理系の視点からみた「考古学」の論争点

新井宏

この本は古代を探究する考古学について、考古学者が長年論争してきた謎を理系科学者の視点から考察している。著者は、もと鉄鋼会社の金属エンジニア。たいへん興味深い1つに、従来の炭素14年代年代測定法に対する疑問の提出がある。弥生時代はどこまで年代を遡れるかという謎に対し、国立歴史民俗博物館グループの主張する「弥生時代中期のはじまりは紀元前370年頃」という説はまったく合わないと述べ、鉛の同位体の比率に基づく分析法を駆使、著者は紀元前250年頃と結論する。卑弥呼の鏡と言われる三角縁神獣鏡についても、主観的な思考を排し、基礎的な数値データに基づき興味深い仮説を展開する。文化財科学の入門書としても面白く読める。 (大和書房)

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