ヒューマンインタフェース・インタラクション

使いやすさが重要、使った後の感情変化も重要!「ユーザエクスペリエンス」研究


西内信之 先生

東京都立大学 システムデザイン学部 情報科学科/システムデザイン研究科 システムデザイン専攻 情報科学域

どんなことを研究していますか?

スマートフォンのアプリは説明書を読まなくても使えますよね。これは、画面のデザインや操作方法の使いやすさがとてもよく考えられているからです。こうした操作方法や使いやすさを研究する分野がユーザビリティです。ユーザビリティは、ヒューマンインタフェースという大きな研究分野の中の一分野です。これからの製品やアプリは、どんなに機能が優れていてもユーザビリティ(使いやすさ)が低いと誰にも使ってもらえません。今後ますますユーザビリティやヒューマンインタフェースの研究は重要になるでしょう。

ユーザビリティは使っている最中のヒューマンインタフェースに着目していますが、さらにこれを拡張して、製品やソフトウェア、サービスの利用中の体験や、利用前後の感情変化といった要素を含めた、ユーザエクスペリエンスという考えが近年重要になってきています。

人の生体情報を計測してヒューマンインタフェースの開発や評価に

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私の研究室では、ヒューマンインタフェース、ユーザビリティ、ユーザエクスペリエンスに関する研究を行っています。眼球運動計測、脳波計測、画像処理による動作計測など、人の生体情報を計測して、新しいヒューマンインタフェースの開発や評価に繋げています。

ユーザエクスペリエンス研究に関しては、当研究室に所属していた大学院生の開発したユーザエクスペリエンスを評価するためのiPhoneアプリがあります。このアプリで、製品やサービスの利用時や利用前後のユーザの感情を記録できます。そして、これらのデータを解析することで、製品やサービスの改善に利用できるというものです。

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学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→製造業
  • ●主な職種は→システム開発、WEBデザイン、SE、SI
分野はどう活かされる?

ユーザビリティ、ユーザエクスペリエンスに関連する業務を担当している卒業生も多いです。

先生から、ひとこと

この研究分野では、ユーザの反応を通して自分たちの関わった成果がわかります。いろいろな人と関わって、どんどん新しいことに目を向けていくことができる人は、ヒューマンインタフェースの研究に取り組んでみませんか。きっと、その達成感を味わってもらえるでしょう。

先生の学部・学科はどんなとこ

システムデザイン学部の特徴は、近未来の実現を目指す様々なシステムを、数理的、システム工学的、人間の感性を重視したデザイン工学的なアプローチから研究できる点です。そして情報科学科では、最先端の情報技術の研究を経験できますが、それだけではなく、問題発見、問題解決、ディスカッション、プレゼンテーションなどの能力を養ってもらうことも大切にしています。

私の授業でも、新しいヒューマンインタフェースを提案したり、それらを評価したりするための理論や手法を学んでもらうために、演習やグループワーク、プレゼンテーションを取り入れていて、学生たちには、実際に手や頭を使って、ヒューマンインタフェースの研究を体験してもらっています。

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先生の研究に挑戦しよう

WEBページのデザインは、ヒューマンインタフェース、ユーザビリティ、ユーザエクスペリエンスと深く関係しています。使いやすさを意識して、自分自身でWEBページを作成してみましょう。

興味がわいたら~先生おすすめ本

SF映画で学ぶインタフェースデザイン

Nathan Shedroff、Christopher Noessel

『スター・トレック』、『ミッション:インポッシブル』、『マトリックス』などSF映画に使用されるインタフェースを基にして、インタフェースのデザインに関する要素を数多く紹介。映画公開当時は未来的なインタフェースだったもので、今では実現しているものもある。ヒューマンインタフェース・インタラクションの学問領域では、誰も考えたことがない新しいインタフェースを提案したり、それらが本当に使いやすいか評価したりするが、本書は、新しいインタフェースを提案するときの1つのヒントになるだろう。 (安藤幸央:監、訳/丸善出版)


マイノリティ・リポート

スピルバーグ監督によるSFサスペンス映画。予知能力者によって殺人の予知が可能になった西暦2054年のアメリカが舞台。近未来のヒューマンインタフェースが登場する映画なので、ぜひ見て想像力を鍛えてほしい。 (トム・クルーズ:主演)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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