流体工学

ミクロな世界の熱・物質や流体の流れをコンピュータシミュレーションによって解明!機械、食品、化学薬品など各種工業の現場に貢献


吉野正人 先生

信州大学 工学部 機械システム工学科 熱流体システム工学分野/総合理工学研究科 工学専攻

どんなことを研究していますか?

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身の回りには、大気のような気体の流れや河川の水の流れなど大きなスケールの流れから、毛細血管を流れる血流のような非常に微小なスケールの流れまで、様々な流れがあります。近年、計算機のめざましい発達のおかげで、これまで調べることが難しかったミクロな世界の複雑な流れを、精度よく解析することができるようになってきました。私は、特に微小スケールの複雑な流れを、コンピュータシミュレーションによって解明することに取り組んでいます。

例えば、化学薬品の精製や製薬の工程においては、マイクロサイズの微小流路を有する生産システムが注目されており、その微小流路の流れを正しく把握する必要があります。また、曲がりくねった微小な管の中を通る熱・物質の動きや、小さな部品の表面にぶつかるコーティング剤の動きなど、効率性や安全性の要求からその動きを制御することが求められています。それらのマイクロ流路では、普通サイズの流れでは考えられない特有の問題が生じます。そのため、微視的なレベルでの流動現象を明らかにすることが課題です。

研究成果を組み込んだ熱流体シミュレーションソフトの開発を目指して

こうした流体や熱の複雑な流れの解明には、コンピュータシミュレーションが有用ですが、そのためには、シミュレーション方法を確立する必要があります。現在市販されているソフトウェアは、複雑な現象を必ずしも精度よく模擬できるものとは言えません。将来、我々の研究で得られた成果を組み込んだソフトウェアが開発され、多くの技術者によって使われるようになれば、実験をすることなくコンピュータ上で複雑な流動現象を再現することができ、ものづくりをする際にもコストの削減に役立つと言えます。

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研究室のみなさん。前列左が吉野先生

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→自動車関連、重工、医療機器、電機など
  • ●主な職種は→開発、設計、生産技術

先生から、ひとこと

熱や流体の複雑な流れを詳しく調べることは、容易なことではありません。しかし、コンピュータシミュレーションで普段見えない流れが目に見えるようになると、いろいろ興味深い現象が明らかになり、とても面白いと感じることでしょう。我々の身の回りにある空気や水の流れであっても、実はまだわかっていないことが多くあります。それを学術的に少しずつでも解明するために、私は学生と一緒に日々研究を続けています。この分野に興味を持った高校生の皆さんも、ぜひ一緒に研究をしてみませんか。

先生の学部・学科はどんなとこ

機械システム工学科には、熱流体工学分野の教員が8名所属しています。教育方針としては基礎を重視し、少人数制のクラスによる演習も実施するなど、熱力学や流体力学の本質的な理解を深めるように工夫されたカリキュラムを用意しています。

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先生の研究に挑戦しよう

物質の温度が変化する様子をパソコンで計算してみよう。

興味がわいたら~先生おすすめ本

流れのふしぎ 遊んでわかる流体力学のABC

石綿良三、根本光正

身の回りで見られる流れの現象を34例取り上げ、それらの簡単な遊びや実験で「流れ」に親しんだ後、その原理を「タネあかし」、どのように実社会で応用されているのか、さらに流体力学の基本原理をわかりやすく解説している。一般向けではあるが、大学で習う流体力学の基礎的な事項をほぼ網羅している。数式を使うことなく家庭でもできる「遊び」を題材にして流れの現象を理解することができるため、小学生でも楽しめる本だが、同時に大学で流体力学を学ぶ学生の副読本にもなり得る。 (ブルーバックス)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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