ぬいぐるみの型紙ツール、完成までCGが可視化
作りたい立体を型紙にするのは難しい
手芸や工芸などのクラフト作業で、自分だけのオリジナル作品を作ることができるように、コンピュータグラフィックスを用いた創造的作業の知的支援システムを研究しています。
例えば、オリジナルなぬいぐるみを作るのを想像してみてください。なんとなくこんなものを作りたいなという、立体的なイメージを持つことはできても、実際に作るためには、そのイメージに対応した型紙をデザインしなければなりません。
でも、型紙は平面、できあがりは立体。型紙をデザインする作業は、実はとても難しいのです。通常は、パタンナーと呼ばれる専門家が経験や知識を活かしてデザインした型紙が販売されていて、それを使って縫うことが多いようです。
できあがりのシミュレーションも
私は、初心者が、コンピュータで簡単にデザインできるようなデザインツールを研究・開発しています。初心者でも使いやすいユーザインタフェースを取り入れたデザインツールと、コンピュータグラフィックスでの形状デザイン、制作後の形のシミュレーション、制作過程を見えるようにすることなどを組み合わせ、使いやすくしています。
「ぬいぐるみになるような」「ビーズアクセサリーとして成立するような」といった難しい部分はシステムが自動的に計算してくれるので、知識のない子どもたちでもこのツールを使えば簡単に、オリジナルデザインの手芸作品が作ることができるようになります。
→先生のフィールド[社会情報基盤]ではこんな研究テーマも動いている!自分のオリジナルデザインでの、ものづくりを支援する技術を提案しています。身近な手芸の支援システムなので、プログラミングに対する興味と能力を育てることにもつながります。
◆テーマとこう出会った
学部生の時に、CG業界における世界最大の国際会議・SIGGRAPHの論文輪講に参加しました。そこで、筑波大学の三谷純先生の、3次元モデルからペーパークラフトを作る論文を読みました。私は小さい頃からぬいぐるみ制作や洋裁・編み物などが大好きだったので、ペーパークラフトの作品と型紙についての三谷先生の論文を見て、ぬいぐるみで論文を書きたい!と思ったのが、研究を始めたきっかけです。
◆学生時代
手芸が好きで、よくぬいぐるみや洋服を作ったり、編み物をしたりしていました。本などのやり方通りに作ることもあれば、試行錯誤しながら自分流にアレンジすることもありました。一方で、ゲームやコンピュータも好きで、プログラミングなども勉強していました。それらの経験が、「手芸×情報科学」の現在の研究につながっていると思います。
◆出身高校は?
鴎友学園女子高校
「ヒューマンインタフェース・インタラクション」が学べる大学・研究者はこちら (※みらいぶっくへ)
「13.IT・AI」の「48.人工知能・機械学習、画像(CG等)、インターフェース系」
三谷純
筑波大学 情報学群 情報科学類/システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻
【折り紙・ペーパークラフトに関する研究】折り紙や紙工作、ペーパークラフトに関してコンピュータグラフィックの観点から研究を行っています。様々な技術提案、アルゴリズムの考案をして、最先端の国際会議で論文発表を行っている一方で、研究用としてだけでなく、製品としても開発をして販売をしているなど幅広い活躍をしています。映画やワールドカップのトロフィーデザインなど様々なフィールドで活躍しており、注目すると共に、影響を大きく受けています。
木村朝子
立命館大学 情報理工学部 メディア情報学科/情報理工学研究科 人間情報科学コース
【仮想と現実を融合する「複合現実感」、触力覚を活かした「タンジブルインタフェース」の研究】最先端の国際学会での論文発表の他、情報処理学会ヒューマンコンピュータインタラクション研究会の主査を務めるほか、若い研究者の教育に対して力を注いでいらっしゃいます。研究と母親としての子育てを両立をしながら奮闘する姿にも大きく影響を受けています。
井尻敬
芝浦工業大学 工学部 情報工学科
【植物・生物・医学などを対象としたコンピュータグラフィックスに関する研究】植物や生物、医学などといった個々の成長や差異が大きいものを対象としてコンピュータグラフィックスの観点から研究を行っており、最先端の国際会議での論文発表を行っています。学生時代の1つ上の先輩であり、研究に対する姿勢に大きな影響を受けたと思います。国立科学博物館などで特別展を手掛けるなど、対外的な活動にも積極的に取り組んでおり、注目しています。
◆面接でよい印象を持たれる「声」とは?
「人間を超える声」で変わる現在と未来(東洋経済)
◆AIきりたんの仕掛け人、森勢将雅准教授に聞く、AI歌声合成の世界で今起こっていること(インタビュー)
◆Twitter: https://twitter.com/m_morise
「動画・学問さがしの旅に出よう! 気鋭若手研究者のスーパープレゼン」も観よう
先端メディアサイエンス学科は、2013年にできた新しい学科です。1年生からゼミに配属され、全研究室を回り、授業を受けるだけでなく多様な活動を行いながら、研究を肌で感じることができるカリキュラムになっています。コンピュータグラフィックだけでなく、ヒューマンコンピュータインタラクション、バーチャルリアリティ、認知科学、数学と、幅広く学ぶことができます。
「SIGGRAPH」の技術論文(Technical Papers)
YouTubeで、「SIGGRAPH」と検索すると、世界最大のCGの国際学会「SIGGRAPH」の技術論文(Technical Papers)の動画を見ることができます。コンピュータグラフィックスは映像で見るのが一番。また、「CG メイキング」と検索すると、様々な映画会社が映画のメイキングビデオを公開しています。映画やゲームでCGに触れながら、その映画名やゲーム名で、YouTubeでメイキングを検索してみるのも興味深いと思います。
ドラえもん
藤子・F・不二雄(小学館)
改めてドラえもんの道具を「ヒューマンコンピュータインタラクション」の観点から見返すと、いろいろな視点に気づきます。すでに実現されたものや部分的に実現できているものもありますし、近い将来実現できるものもあるかもしれません。そんな視点から、自分にとっての「未来の便利道具」が思いついたら、それを実際に作ってみたくてプログラミングを学びたくなったり、電子工作をしてみたくなったりするかもしれません。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ? やっぱり情報科学でしょうか。でももっと幅広い分野を学んで、情報科学とのコラボの幅を広げたいです。医学や音楽、家政学など様々な分野のバックグラウンドを知りつつ、情報科学で解決していきたいです。 |
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Q2.熱中したゲームは? テトリス。たくさんのゲームをやりましたが、単純なパズルゲームが一番好きです。その中でも、テトリスはずっとやっていました…。 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? 軽音学部。中学・高校・大学とずっと軽音楽部でバンドをしていました。今でも当時の仲間たちとライブをしたりします。 |
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Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 塾講師、家庭教師、プログラミング開発などをやっていました。 |
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Q5.研究以外で楽しいことは? お菓子作り。試行錯誤しながら、自分(と子どもたち)好みのレシピを創りあげるのが好きです。 |