これまで触媒は、人類が直面する課題解決にどれほど大きな役割を果たしてきたことでしょうか。化学反応で直接反応しにくいもの同士を反応させたり反応速度を速めたりする役をしながら、自身は変化しないものを触媒といいます。生体内での酵素の重要な働きも触媒反応です。
工業的にも今日、反応の種類に応じて多くの種類の触媒が開発され、私たちの暮らしを豊かにしています。この触媒によって医薬品や機能性材料は、より効率的に生産されています。触媒は豊かな生活を送るための様々な技術として、人間の生活を支えてきたと言えます。
金属錯体の触媒反応の開発
無機化学の分野の中で、私の専門は錯体化学、触媒化学です。錯体化学は、周期表で遷移金属と呼ばれる金属元素と非金属元素を結合させます。それによってできた化合物を金属錯体といいます。金属錯体は、触媒に幅広く利用されます。
私は複数の金属イオンにより促進される金属錯体の触媒反応の開発に取り組んでいます。触媒の効率を向上させることや、または簡便に合成できるルートを開発することによって、エネルギー消費量の少ない触媒反応の開発を目指しています。そのために、従来にない優れた触媒活性や様々な反応に対応できる高い選択性を有する触媒反応を開発し、環境に調和した社会の構築に貢献したいと考えています。
「無機化学」が 学べる大学・研究者はこちら
その領域カテゴリーはこちら↓
「17.化学・化学工学」の「69.無機化学(錯体等)」
一般的な傾向は?
化学・食品・建築・自動車など多種多様な企業で研究者として活躍されています。
分野はどう活かされる?
化学は物質を基盤とする学問なので、いろいろな分野で必要とされています。
金属と非金属の原子が結合した構造を持つ化合物を扱う、錯体化学を専門とする教員が多数在籍し、専門的な授業を行っています。少数教育の利点を活かし、きめの細かい対応を可能としているのが特徴です。
偉大な化学の発明や発見には予期しない偶然の産物によって見つかったものがあり、これをセレンディピティーと呼びます。私の研究の中にも、小さいですが、たくさんのセレンディピティーがありました。日々の研究は、ときに単調で失敗が連続することもありますが、新たな発見の感動や興奮を味わいたくて毎日研究に励んでいます。ぜひ、一緒にセレンディピティーを体験し、化学の歴史に皆さんの名前を刻んでみませんか。