同じ時間が流れているはずなのに、幼い時と比べて、時間があっという間に感じたことはありませんか。同じ大きさの図形を見ているはずなのに、片方が少し小さく見えることはありませんか。人間には、こうした様々な「錯覚」があります。私は、この「錯覚」という現象を研究することで、人間がどのような情報処理を行なっているのかを明らかにしようとしています。
錯覚による潜在的危険を知ることにつながる
例えば、視覚情報の場合、人間は感覚器である目を通して入ってきた光を、脳内で分析し大きさや形を知覚し、さらに記憶と照らし合わせてそれが何なのかを認知しています。見え方の錯覚が起きる時、脳内でどのようなことが起きているのか、そしてそれは何故なのか。被験者に様々な画像を見せ、その見え方を研究することで、錯覚の特性がわかってきました。錯覚による潜在的危険を知り、社会全体や個人の生活の安全へとつながる研究です。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→情報、電機、出版、流通、製造、医療、教育、広告、放送、研究、司法、公務
- ●主な職種は→プログラマー、デザイナー、コンサルタント、企画、開発、営業、事務、教員、相談員、調査官、研究者
分野はどう活かされる?
人間の知覚や認知の特性についての理解を通して、インタフェイスの開発やプログラミング、企画に取り組んでいる人が多いです。人間に関わる数値データの取り扱いに慣れているので、調査データの取りまとめやマーケティングなどに活かしているようです。
人間は、自ら生活環境を大きく変える珍しい生物種です。長い時間をかけて自然環境に適応してきた人間の知覚認知システムは、新しい人工の生活環境に接するたびに、新しい錯覚を経験するということを繰り返してきています。そうした錯覚には、危険につながるものもあれば、生活の質の向上につながるものもあります。実験心理学は、そうした人間の知覚認知の潜在的な可能性についての最先端を知ることができる研究領域です。