ピエタ

大島真寿美

18世紀イタリア、爛熟の時を迎えた水の都ヴェネツィアを舞台に描かれる物語です。それは『四季』の作曲家ヴィヴァルディの訃報から、一枚の楽譜をめぐって、スカフェータという赤ちゃんポストに預けられ慈善院で育った女性が、過去を回想する形で展開します。教会の司祭だったヴィヴァルディは、孤児たちを養育するピエタ慈善院で「合奏・合唱の娘たち」を指導し、慈善院の経営を支えました。

教会と慈善院、そしてスカフェータは、今もまだヴェネツィアで形を残しています。ヴェネツィアの社会、ヴィヴァルディの生涯、ピエタで育った子どもたち、女子だけのヴェネツィア慈善院音楽学校。静かに描かれる物語は、読み終わればすべてのことがつながって、ヴェネツィアやヴィヴァルディを、スカフェータやピエタを、そして人生そのものを、これまでと違った視点から見ている自分に気がつくでしょう。すべての人におすすめする1冊です。 (ポプラ文庫)

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