蚕の城 明治近代産業の核

馬場明子

日本の遺伝学は我が国の風土にあったカイコから始まったという。この本はその背景に、明治政府が富国強兵、殖産興業政策を押し進めたことが関係していたことを述べている。養蚕を盛んにするために病気に強いカイコや生産性の高いカイコが多様な系統から育種し、そのような系統を維持する努力は、九州大学を中心続けられた。その100年の歴史が紹介されている。日本の近代化、それを支えた昆虫、その昆虫を支えた研究歴史が綴られたユニークな本だ。鎖国を解いた日本は何で外貨を獲得しようとしたか?それは一介の昆虫であるカイコの糸シルクに託された。そのシルク生産にはカイコの生物学研究が必須だったのだ。 (未知谷)

同じ分野のおススメ本

こちらもおススメ


みらいぶっくへ ようこそ ふとした本との出会いやあなたの関心から学問・大学をみつけるサイトです。
TOPページへ