コンピュータを用いた映像美術の世界では、ゲームや3DCGアニメーション、作品と観客の参加によって形成されるインタラクティブ(双方向)・メディアアートなど、様々なエンタテインメント分野のデジタルコンテンツが次々と生み出されています。私たちの研究室では、CG、画像処理、インタラクションなどをキーワードに、今までにないデジタルコンテンツを研究・制作しています。
新しい映像表現技術、伝統文化×デジタル、インタラクション技術の新たな展開
自由なお絵描きを瞬時に三次元CG化したり、電車や車の絵を三次元CGにして走らせたりする技術を使ったコンテンツは、いろいろなイベントで子供たちに人気です。影を使ってCGとインタラクションする技術もスヌーピーのイベントで使われています。また、空中に三次元CGを立体的に見せて、それを手で直接操作できる技術も開発しています。
他には伝統文化とデジタルを組み合わせたコンテンツも制作しています。例えば、生け花とCGを組み合わせたコンテンツ、古民家の障子を使ったプロジェクションマッピングやお茶会のデジタル演出も行っています。また、吹き戻し(ピロピロ笛)の伸び縮みの長さや方向を画像処理で認識してゲームに応用する研究も行っています。
そして、最近はインタラクション技術を介護やリハビリ分野に応用する研究も行っています。辛いリハビリもインタラクション技術を使って患者さんのモチベーションを保ちながら取り組んでいけるような技術や映像表現手法を開発しています。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→情報システム、映像制作、Webコンテンツ制作、ゲーム会社など
- ●主な職種は→システムエンジニア、ゲームエンジニア、プログラマ、デザイナー、映像クリエータ
分野はどう活かされる?
テレビや映画用の映像制作、企業Webページ制作、メディアアート制作、スマートフォン用ゲーム開発、企業用システム構築などに携わっています。
インタラクションの技術開発やコンテンツ制作は世界の中でも日本は先端を走っていて、チームラボやRhizomatiksのように大きな活躍をしている企業もあります。技術とアイデアの融合で、みなさんも世界をアッと言わせるような技術開発やコンテンツ制作を目指してみてはいかがですか。
CGプログラミング、画像処理、ゲームプログラミング、映像制作に関する演習が多く、学生一人ひとりにPCを配布することで、学生はいつでもどこでも演習課題を実施することができ、実践力を身につけることができます。
興味がわいたら~先生おすすめ本
Unity2019入門 最新開発環境による簡単3D&2Dゲーム制作
荒川巧也、浅野祐一
最も代表的なゲーム開発環境であるUnityの入門書。ゲームやインタラクティブデジタルコンテンツは映像を用いる場合が多いが、その実現にはCG、画像処理、数学、物理などの知識やプログラミング技術が必要で、高校生にはやや敷居が高い。Unityは無料で手に入れることができ、プログラムをしなくてもリアルタイム三次元CGが制作できるので、Unityを通じてインタラクティブデジタルコンテンツの映像制作の一端を体験してもらいたい。Kinect、Oculus、LeapMotionなどのハードウェアとの連携も充実しており、プログラミング技術を習得することで多様なコンテンツ制作の可能性が広がる。本の中では簡単なゲームプログラミング方法が具体的に記述されており、ゲーム制作を通じてUnityの基礎を習得することができる。 (SBクリエイティブ)
サイト「インタラクション2020」
情報科学のみならず、認知科学や芸術系、人文系も含め、大学や企業の研究者が集まり、日本のインタラクションに関わる最新の技術や情報交換をするシンポジウム「インタラクション」。毎年開かれ、参加者約700人規模。その2020年度のサイト。「カタログ」ページには発表された研究の概要、「アーカイブ」→「予稿集」には論文データが公開されており、2020年度の最新研究を見ることができる。 また、一部の発表はYoutubeでも公開
されている。
https://www.youtube.com/user/interactionipsj/live