王陵の考古学
都出比呂志
日本の前方後円墳、秦の始皇帝陵、エジプトのピラミッドなど、世界各地のある王陵・王墓を紹介・比較し、王陵というモニュメントが出現する背景と歴史的意義を探る。本書は、地域に根ざした学問と位置づけられることの多い考古学にとって、それとはやや異なる趣を持つ。一見異なる脈絡をもって出現したものと捉えられがちな各地の王陵を比較し、共通点を見出す。地域を超えた人間行動の共通性や、そうした共通性が生み出された背景を探るという比較考古学の手法は、新たな研究視点の実践といえるもので、考古学の現代社会に果たす役割や可能性を模索する上でも重要だ。考古学による歴史のダイナミズムを感じることができる。
(岩波新書)
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