動物・植物・魚って、農業・水産業って

選んでいただいたフィールドの本はこちら。さあ、もっとみてみよう。

森林飽和 国土の変貌を考える

太田猛彦

森林科学科に入学する新入生の多くは自然に対するあこがれを抱いている。「身近で森林伐採が行われていたから森林破壊を防止したい」という志望動機を持っている場合が多い。しかしこの本はこれとはまったく逆のことを訴える。国挙げての植林活動の結果、これ以上その必要性がないほど、いまや日本の森林は飽和状態だというのだ。すなわち、今現実に日本で起きているのはまったく違う問題であることに気がつかせてくれる。森林を学ぶにあたり、ステレオタイプな考えかたでなく、保全・保護の観点、利用の観点、共生の観点など、さまざまな立場からの新しい視点で捉えられると理解が深まる。また、その複雑さが森林科学の魅力であると思われる。 (NHKブックス)



木材なんでも小事典 秘密に迫る新知識76

木質科学研究所木悠会:編

優れた生物材料としての木材は、二酸化炭素を吸収し酸素を供給することで地球環境を救っている。木との長い歴史、木材を利用する文化史、木材加工の仕方のコツまで、この本を読めば木材のあらゆる性質、利用方法を理解できるだろう。 (ブルーバックス)



食・農学系

プラントハンター

白幡洋三郎

世界の珍奇な植物や美しい植物を紹介しながら、それらを持たざる国がいかに躍起になって収集してきたかを伝える。植物の育種技術が社会の要請とどのように関わってきたかを、プラントハンターという一群の収集家の人々の行動から考えさせられる。この本では、歴史と農学の両面にまたがりながらバランス良く論じられており、高校生が知らないであろう面白いエピソードも満載されている。文理融合はこれらからの若い人には不可欠の視点であるが、それを現場で考える、しっかりした資料で実証する姿勢が重要であり、この本はそれがしっかりと感じられる。 (講談社学術文庫)



食・農学系

サバからマグロが産まれる!?

吉崎吾朗

激減するクロマグロの代理としてサバを代理の親にしてマグロを産ませることはできるのか。その研究に迫る。養殖生産魚をよりよいものにするために、魚の細胞にいかにアプローチしてきたか、またはしているかを読み取ってほしい。 (岩波科学ライブラリー)



食・農学系

植物のこころ

塚谷裕一

著者は発生生物学、系統分類学を専門にする植物学者で、そのユニークな着眼は本書でも発揮。植物の器官が分化し多様化していく遺伝子群の働きを説明し、多様に進化した植物としてつる植物、着生や寄生する植物、昆虫と共生する植物や食虫植物などの特異な環境に適応した植物の戦略について、植物の感覚の鋭い戦略や特異な環境に適応した植物などを“植物のこころ”という題名で言い表し書き綴っている。 (岩波新書)



食・農学系

働かないアリに意義がある

長谷川英祐

この本は、いわゆるニート問題をアリの行動から生物学的に解釈する道をあたえ、世間の注目を昆虫科学に集めたことで高く評価できる。「働き者」の代名詞の働きアリは実はほとんどの時間何もせずだらだら過ごしていること、個体ごとにみるとまったく働いていないものもいることを示し、そしてなぜそうなのか科学的に解き明かそうとしたこと、このような切り口は、高校生の知的好奇心をくすぐると思われる。ただし、昆虫科学という学問の専門的観点からは内容には誇張や誤りも多いという。 (メディアファクトリー新書)



大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち

藤井一至

進化の学説では地球の5億年前といえば、突如として今日見られる動物が出そろった時期とされる。地質年代では古生代末のカンブリア爆発と呼ばれている。一方、土壌は、土の基になる岩石が風化し細かくなったものに、植物・動物など生物の腐食が関わり、形成されていく。この本は土壌学者である著者の手によって、カンブリア紀以来の森林を構成する重要な要素の一つである「土壌」について、成り立ちや生物との関係について、さまざまな例を挙げわかりやすく解説している。土に関する認識が大きく変わることは間違いない。 (ヤマケイ新書)



食・農学系

植物は感じて生きている

滝澤美奈子

水やミネラルなどの植物栄養も含めて、さまざまな環境要因に植物がどのように応答しているか、科学ジャーナリストの手でわかりやすく書かれている。植物は食糧と資材の生産を通じて人類の生活に大きな恵みを与えてくれている。また地球環境においても植物はなくてならない。しかしその割に私たちは、植物が生きるしくみ、特にさまざまな環境変化にダイナミックに応答しているメカニズムをあまり理解しないでいる。この本は植物の巧妙な環境適応機構について、それを研究者はどのように研究しているか、実際の研究現場でのインタビューを通じてわかりやすく教えてくれる。 (日本植物生理学会:編/化学同人)



食・農学系

おいしい穀物の科学

井上直人

著者は作物生産科学という学問から、「穀物の美味しさは風土によって作られる」と言う。風土とは土壌、水、風、精密な栽培技術などのことで、それらの要因と相関関係を研究。勘に頼った穀物栽培から脱出し、おいしい穀物の科学をめざす。現代の作物とその生産の特徴や食品としての特徴、さらには地球温暖化への対応、環境負荷の少ない栽培技術についてわかりやすく解説している。 (ブルーバックス)



プラントハンター 命を懸けて花を追う

西畠清順

プラントハンターとは、観賞用植物の新種や有用植物を求め世界を探索する人を呼ぶ。もともと17世紀以降にイギリスやオランダで発展したこの役割だが、この本は現代の日本人プラントハンターの冒険記だ。今を生きるプラントハンターの生きざまは魅力的で、一気に読み進められるだろう。 (徳間書店)



食・農学系

もやしもん

石川雅之

菌が見える特殊能力を持つ青年が、農大でカビや酵母などの様々な菌に出会う漫画。様々な菌がコミカルにキャラクター化されて描かれており、微生物に興味を持ってもらえるだろう。微生物そのものや、微生物と食品の関係、微生物と生活の関係のイメージを持つのにも役立つ。 (イブニングKC)



食・農学系

ありがとう、実験動物たち

太田京子

東北大学の動物実験施設で働く女性を描いたノンフィクション。動物実験がなぜ必要か、また、医学研究における動物実験の現場で行われている実験動物に対する福祉が理解できる。 (笠井憲雪:監/岩崎書店)



バイオ工学系

水とはなにか ミクロに見たそのふるまい

上平恒

身近な水で特殊な性質に、4℃で密度最大になることがある。その理由だが、氷になると液体の水より体積が大きい(密度が小さい)が、温度が上げていくと氷が溶け、氷の結晶構造の隙間に水分子が入り込み、密度は上昇する。4℃を越えると氷の結晶はなくなり逆に水分子の運動が激しくなり拡散されるので、密度は減る。だから水は4℃で密度は最大というわけだ。それがどうしたと言われそうだが、この本はそれが生きものの生活環境において重要な役割を果たしていると述べている。初版は1977年に出た本だが、息長く読み継がれ、この本は2009年に新装版として発刊された。 (ブルーバックス)



食・農学系

進化し続ける植物たち

葛西奈津子

地球上ではじめて光合成をおこない酸素を作り出し、自ら栄養を作り出した――植物という生き方を選んだ藻類研究にはじまり、化石が語る植物と地球環境の歩みや植物の形の多様性を生んだ遺伝子の進化の足跡をたどり、植物と微生物の共進化を紹介する。この本は植物の「進化」をキーワードに、その研究の面白さをレポートする。作物の生産性向上のためにはまず、植物が持つ性質や特徴を十分に理解する必要がある。それについてのケーススタディーのような位置付けの本と言える。本書は、「植物まるかじり叢書シリーズ」全5冊の1冊。サイエンスライターが植物科学の研究者たちを訪ね、植物研究の面白さをレポート、日本植物生理学会が監修をする。他には、『植物が地球をかえた!』、『植物は感じて生きている』、『花はなぜ咲くの?』など。 (日本植物生理学会:編/化学同人)



家政・生活、デザイン系

栄養学を拓いた巨人たち

杉晴夫

現在の栄養学がどのようにして発展してきたのかについて、関わった研究者たちの苦労を交えてわかりやすく解説している本。エネルギー、三大栄養素、消化と吸収、ビタミン、ATPなど、今日では当たり前のことが明らかにされるまでには、想像を絶するような苦難や論争があった。また、併せて日本における栄養学の発展の歴史から現在の課題についても記されている。栄養学は、純粋な科学としての学問体系の一つであると同時に、人の健康増進を図るための「実践の学問」でもある。本書は、単に栄養学の知識を得るためのものではなく、栄養学とはどうあるべきかを考えさせてくれる良書であり、栄養学を目指す学生さんには一読を勧めたい。 (ブルーバックス)



水から出た魚たち ムツゴロウとトビハゼの挑戦

田北徹、石松惇

干潟という特徴のある海に住むムツゴロウとトビハゼは、水の中ではなく干潟表面を主な生活の場としているが、どうやってこのような暮らし方になったのだろうか。この本は、ムツゴロウとトビハゼの生物学的な面白さに加え、干潟の重要性も理解させてくれる。また、トビハゼ類の養殖や漁法・料理方法まで広く紹介している。この本を通して、生物の面白さや干潟・海洋環境の重要性に気づいてほしいと思う。 (海游舎)



家政・生活、デザイン系

食欲の科学

櫻井武

食欲はどのように調節されているのかについて、最新の研究成果を交えてわかりやすく説明された良書。食生活学や栄養学は、食事として栄養素をどのように摂取すれば良いかを考える学問だ。食欲は、食事、すなわち栄養を摂取する上で重要な決定因子であるため、それを取り上げる本書は一読に値する。 (ブルーバックス)



日本農業の真実

生源寺眞一

2010年頃の日本農業をめぐる諸状況を簡潔にまとめた本。農業経済学という学問の立場から見ても、日本農業の強みと弱みを歴史的にわかりやすく解説している。農業政策、農業・農村問題が中心だが、広く食料や環境の問題を考える上でも必要不可欠な知識を得ることができるだろう。有限である資源を効率的に利用し持続可能な形で利用していく循環型社会、とくに日本の食料やエネルギー循環を巡る、農山村の地域社会の問題を考える上でも基本的な内容がわかりやすく書かれている。 (ちくま新書)



食・農学系

植物で未来をつくる

松永和紀

植物科学分野の研究者へのインタビューに基づき、植物のゲノムや遺伝子に関する研究の実例や成果をわかりやすく解説している。毎回違ったサイエンスライターが植物科学の研究者たちを訪ね、植物研究の面白さをレポートする全5冊の「まるかじり叢書シリーズ」の1冊。 (化学同人)



フグはフグ毒をつくらない

野口玉雄

日本人の多くが興味を持つ、フグとその毒を通して、生態学から生物学、社会学に至るまで、幅広い分野を知ることができる。フグ毒研究の第一人者が、自らの研究成果を分かりやすくまとめた一冊である。 (成山堂書店)


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