動物・植物・魚って、農業・水産業って

選んでいただいたフィールドの本はこちら。さあ、もっとみてみよう。

食・農学系

ありがとう、実験動物たち

太田京子

東北大学の動物実験施設で働く女性を描いたノンフィクション。動物実験がなぜ必要か、また、医学研究における動物実験の現場で行われている実験動物に対する福祉が理解できる。 (笠井憲雪:監/岩崎書店)



食・農学系

銀の匙 Silver Spoon

荒川弘

この漫画は、牛や豚、鶏などの家畜と呼ばれる動物たちが、現在どのように飼育されているか、またそれを取り巻く畜産業という産業がどのような状況にあるかを、農業高校生の視点を通してわかりやすく伝えている。著者は、酪農家出身そして農業高校出身者であるので、漫画でありながら背景となる知識や描写はかなり正確に描かれている。漫画という媒体を通して、「動物生産科学」という食肉の生産現場を扱う学問を知ってもらうことができる。 (少年サンデーコミックス)



ミミズと土

チャールズ・ダーウィン

視点を変えながら繰り返し観察することを通じて、ミミズの神秘に近づいていく過程が大変面白い。そしてこのミミズの観察を大地の成り立ちの考察に発展させる過程が、とても読み応えがある。自然を観察することの喜びを教えてくれる一冊。 (渡辺弘之:訳/平凡社)



もう牛を食べても安心か

福岡伸一

著者は分子生物学者であり、『生物と無生物のあいだ』でベストセラーとなった作家。この本は、日本に狂牛病の牛が発生したと大騒ぎになった頃に出版された。国内牛丼チェーンが米国産牛肉の輸入禁止により牛丼を2年以上販売中止するなど、まだ記憶に新しい。その後さまざまな日本の取り組みにより収束しているが、この本で、狂牛病がどのような経緯で発生したのか、同時に食の安全がどのように脅かされるのかを理解してほしい。食べることの意味を理解するにも適切な本ではないかと思われる。 (文春新書)



食・農学系

木のびっくり話100

日本木材学会:編

日本木材学会に所属するさまざまな木材研究者が、一般向けに書いた本。木材にまつわるさまざまな100のトピックスについて、専門用語、化学式、数式などを極力用いずにわかりやすく書かれている。それぞれのトピックスは見開きの2ページで完結しているため、最初から読む必要はなく、気軽にどこからでも読める。木材の物理的性質、化学的性質だけでなく、木材がいかに地球温暖化防止に寄与しているか、木材が未来を切り拓く先端材料であることなどが理解できる。また昔ながらの木の使い方、これからの木の使われ方、地球環境の保全における木の役割など、木の意外な面を知ることができる。 (講談社)



日本農業の真実

生源寺眞一

2010年頃の日本農業をめぐる諸状況を簡潔にまとめた本。農業経済学という学問の立場から見ても、日本農業の強みと弱みを歴史的にわかりやすく解説している。農業政策、農業・農村問題が中心だが、広く食料や環境の問題を考える上でも必要不可欠な知識を得ることができるだろう。有限である資源を効率的に利用し持続可能な形で利用していく循環型社会、とくに日本の食料やエネルギー循環を巡る、農山村の地域社会の問題を考える上でも基本的な内容がわかりやすく書かれている。 (ちくま新書)



森林飽和 国土の変貌を考える

太田猛彦

森林科学科に入学する新入生の多くは自然に対するあこがれを抱いている。「身近で森林伐採が行われていたから森林破壊を防止したい」という志望動機を持っている場合が多い。しかしこの本はこれとはまったく逆のことを訴える。国挙げての植林活動の結果、これ以上その必要性がないほど、いまや日本の森林は飽和状態だというのだ。すなわち、今現実に日本で起きているのはまったく違う問題であることに気がつかせてくれる。森林を学ぶにあたり、ステレオタイプな考えかたでなく、保全・保護の観点、利用の観点、共生の観点など、さまざまな立場からの新しい視点で捉えられると理解が深まる。また、その複雑さが森林科学の魅力であると思われる。 (NHKブックス)



家政・生活、デザイン系

栄養学を拓いた巨人たち

杉晴夫

現在の栄養学がどのようにして発展してきたのかについて、関わった研究者たちの苦労を交えてわかりやすく解説している本。エネルギー、三大栄養素、消化と吸収、ビタミン、ATPなど、今日では当たり前のことが明らかにされるまでには、想像を絶するような苦難や論争があった。また、併せて日本における栄養学の発展の歴史から現在の課題についても記されている。栄養学は、純粋な科学としての学問体系の一つであると同時に、人の健康増進を図るための「実践の学問」でもある。本書は、単に栄養学の知識を得るためのものではなく、栄養学とはどうあるべきかを考えさせてくれる良書であり、栄養学を目指す学生さんには一読を勧めたい。 (ブルーバックス)



食・農学系

チョコレートを滅ぼしたカビ・キノコの話 植物病理学入門

ニコラス・マネー

表題のチョコレートとは原料のカカオのことだ。カカオ栽培が、カビ・キノコの病害で激減したことを指している。この本は、ほかにも歴史上破滅的な被害をもたらした菌類による植物の病気について記載している。植物病理学について歴史を通して触れることができる。この本を読むと、植物の病気について研究し、その病気に対する防除法を開発する「植物保護科学」の重要性が理解できる。 (小川真:訳/築地書館)



18cmの奇跡

陽捷行

表題の「18センチ」とは、植物の生育に必要な平均的な土壌の深さのことだ。地球の大部分はマグマと岩石に覆われ、岩石が風化し細かい粒子の砂土になり、そこに生物が腐敗し微生物が混じった、18センチの層を土壌と呼ぶ。人類が生きるために使える土壌はたったそれだけなのだという。著者の専門は土壌学。自然農法を学べる(財)農業・環境・健康研究所 農業大学校の校長である。 (三五館)



フグはフグ毒をつくらない

野口玉雄

日本人の多くが興味を持つ、フグとその毒を通して、生態学から生物学、社会学に至るまで、幅広い分野を知ることができる。フグ毒研究の第一人者が、自らの研究成果を分かりやすくまとめた一冊である。 (成山堂書店)



食・農学系

昆虫はすごい

丸山宗利

昆虫は、世界のさまざまな気候、環境に適応しており、種多様性が非常に高い。昆虫綱全体で80万種以上が知られている。これは現在知られている生物種の半分以上に相当する。昆虫は地球の歴史上、4億年前、すでに出現している。つまり、人類などとは別の意味で進化的に最も成功した生物が昆虫なのだ。著者はアリと共生する昆虫の多様性解明が専門の昆虫学者。昆虫科学という学問に関する現代の一般的読みものといえばこれ!と言えるだろう。 (光文社新書)



食・農学系

もやしもん

石川雅之

菌が見える特殊能力を持つ青年が、農大でカビや酵母などの様々な菌に出会う漫画。様々な菌がコミカルにキャラクター化されて描かれており、微生物に興味を持ってもらえるだろう。微生物そのものや、微生物と食品の関係、微生物と生活の関係のイメージを持つのにも役立つ。 (イブニングKC)



里山資本主義

藻谷浩介

著者は日本開発銀行(日本政策投資銀行)などを経て、地域経済、観光、人口動態を詳細に調査する地域エコノミスト。同氏は本のタイトルになった里山資本主義を「お金が乏しくなっても水と食料と燃料が手に入り続ける仕組み、いわば安心安全のネットワークを、あらかじめ用意しておこうという実践である」と言っている。この本は、森林と共生する生活・社会のあり方を考える上で、興味深い実例がいくつか紹介されている。グローバル化が進む社会において、また違う価値観を提案するものとして興味深く読める。 (NHK広島取材班/角川新書)



食・農学系

フグ毒のなぞを追って

清水潮

フグ毒は、テトロドトキシンという神経毒だ。古来よりフグ毒に当たって亡くなった人は多数いるが、同じ種類のフグであっても育った環境によって毒の量が極端に異なることがわかってきた。外の環境と一切接触させることがないようにフグを完全養殖すると、ほとんど無毒の養殖フグができるという。本書では、海洋生態系や海洋微生物、そこでの食う・食われるといった食物連鎖の関係、魚類の完全養殖について解説しており、これらを知らず知らずのうちに学ぶことができる。 (裳華房)



バイオ工学系

水とはなにか ミクロに見たそのふるまい

上平恒

身近な水で特殊な性質に、4℃で密度最大になることがある。その理由だが、氷になると液体の水より体積が大きい(密度が小さい)が、温度が上げていくと氷が溶け、氷の結晶構造の隙間に水分子が入り込み、密度は上昇する。4℃を越えると氷の結晶はなくなり逆に水分子の運動が激しくなり拡散されるので、密度は減る。だから水は4℃で密度は最大というわけだ。それがどうしたと言われそうだが、この本はそれが生きものの生活環境において重要な役割を果たしていると述べている。初版は1977年に出た本だが、息長く読み継がれ、この本は2009年に新装版として発刊された。 (ブルーバックス)



食・農学系

サバからマグロが産まれる!?

吉崎吾朗

激減するクロマグロの代理としてサバを代理の親にしてマグロを産ませることはできるのか。その研究に迫る。養殖生産魚をよりよいものにするために、魚の細胞にいかにアプローチしてきたか、またはしているかを読み取ってほしい。 (岩波科学ライブラリー)



ダーウィン以来 進化論への招待

スティーブン・グールド

著者はアメリカの古生物学者、進化生物学者。ダーウィン主義をベースにした進化論の論客。博学の科学エッセイストとして活躍し、今日最も広く読まれる大衆科学作家の一人。生物学を学ぶためには、そのバックボーンとなる進化を知らなければならない。この本は、生物の進化に対する考え方を、著者のユニークな見解と膨大な知識を通して面白く伝えてくれる。 (浦本昌紀、寺田鴻:訳/ハヤカワ文庫)



食・農学系

働かないアリに意義がある

長谷川英祐

この本は、いわゆるニート問題をアリの行動から生物学的に解釈する道をあたえ、世間の注目を昆虫科学に集めたことで高く評価できる。「働き者」の代名詞の働きアリは実はほとんどの時間何もせずだらだら過ごしていること、個体ごとにみるとまったく働いていないものもいることを示し、そしてなぜそうなのか科学的に解き明かそうとしたこと、このような切り口は、高校生の知的好奇心をくすぐると思われる。ただし、昆虫科学という学問の専門的観点からは内容には誇張や誤りも多いという。 (メディアファクトリー新書)



食・農学系

植物は感じて生きている

滝澤美奈子

水やミネラルなどの植物栄養も含めて、さまざまな環境要因に植物がどのように応答しているか、科学ジャーナリストの手でわかりやすく書かれている。植物は食糧と資材の生産を通じて人類の生活に大きな恵みを与えてくれている。また地球環境においても植物はなくてならない。しかしその割に私たちは、植物が生きるしくみ、特にさまざまな環境変化にダイナミックに応答しているメカニズムをあまり理解しないでいる。この本は植物の巧妙な環境適応機構について、それを研究者はどのように研究しているか、実際の研究現場でのインタビューを通じてわかりやすく教えてくれる。

(日本植物生理学会:編/化学同人)


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