教育・心理の本

知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ

苅谷剛彦

著者は教育社会学者。受験競争は多くの資金が必要とされるため、実質的に経済格差が学力格差を生み出すという主張を展開してきた。また、日本の高校生の進路・就職指導を分析し、米国の市場原理に対比し、学校内での学力選抜が就職先の斡旋につながっていることを指摘している。この本は、著者流のものの考えかた、思考法の身につけ方について書かれている。画一的な視座ではなく柔軟かつ多様な見方をするきっかけにしたい一冊。 (講談社プラスα文庫)



消された一家 北九州・連続監禁殺人事件

豊田正義

2002年北九州市小倉北区で発覚した監禁、殺人事件を題材に書かれた。人間心理の恐ろしさを鮮烈に描写している。犯罪史上稀に見る凶悪犯罪とされ、第一審で検察側は「鬼畜の所業」と被告人男女を厳しく非難した。著者は、6件の殺人・1件の傷害致死で第一審死刑判決を受けた男女2人の被告人のうち、女性のほうがDV被害者であったことに着目し、「女性は主犯の男性による長年の暴力・虐待により、逃げられない心理状態となり、命令に逆らえずに犯罪に加担したのであるから死刑判決は不当である」と本の中で主張している。2011年、最高裁判所によって主犯の男の死刑、共犯の女の無期懲役が確定した。 (新潮文庫)



子どものときの運動が一生の身体をつくる

宮下充正

子どもの時期にどのような運動をすることが大切かを書いている本だが、特に「幼いころからのスポーツ指導が決め手」という章が印象的だ。多くの子どもが将来の活躍を目指して、幼い頃からスポーツに取り組んでいるが、そのスポーツが、本当に自分に合っているかどうかはわからない。幼い頃には、遊びの要素を持ちながら、さまざまな運動に取り組むべきだということが書かれている。 (明和出版)



「しがらみ」を科学する 高校生からの社会心理学入門

山岸俊男

「臨床心理士」のイメージが強い心理学だが、心理学には、実験・調査・観察などを通して人間を研究し、理解していく側面がある。この本では、私たちが思い込んでことが実は少し違うのだということを明らかにする、心理学研究の内容がわかりやすく紹介されている。私たちは人の心について、わかったような気でいるが、実際に「証拠」を示してそのことを考えるのは難しいということがわかる。また、この本は、「社会心理学入門」とあるが、子どもの育ちや学校教育に関わる内容も多く含まれ、いじめ、子育て、発達などについて取り上げられている。 (ちくまプリマ―新書)



サブリミナル・マインド 潜在的人間観のゆくえ

下條信輔

人は自覚がないまま意思決定をする! 認知科学の学問領域の中の「無自覚」について紹介している。自分で自覚しない心の働きの不思議を楽しんでもらいたい。 (中公新書)



先生はえらい

内田樹

自分が「えらい」と思う人を「先生」とすることが大切と説いている。自分自身で師匠となる人を勝手に見つけ、与えられるのではなく、自ら学んでいってほしい。 (ちくまプリマ―新書)



入門 犯罪心理学

原田隆之

最新研究に基づいて、犯罪・非行に関連する要因を解説し、それをどのように治療に活かしていくかを具体的事例などを元に紹介している。冒頭に「犯罪心理学上の神話」を紹介し、研究の重要さを解説。また、処罰だけでは犯罪の解決にならないこと、臨床心理学、犯罪心理学的な知見に基づいて、犯罪者の「治療」を行うことが犯罪を抑制するための最も効果的な対策であることを強調している。 (ちくま新書)



脳がシビれる心理学 ココロと脳はどこまでわかったか?

妹尾武治

コンピュータは美人がわかる? 成績を簡単にアップする方法がある? 悪役を演じると本当に悪人になってしまう? あくびは犬にも伝染する? などなどの疑問を、実際の研究を例にして解説する。著者は九州大学の実験心理学の先生。軽い口調で、楽しく読める本。 (実業之日本社)



教師が育つ条件

今津孝次郎

大学の教員養成課程などを経て、いきなり先生として現場に立つ先生。必要なのが、教員を育てる環境の整備だと筆者は言う。「現場でこそ、先生は育つ」と、現職研修の重要性を説く。また、教科指導の力だけではなく、生徒や保護者と信頼関係を築ける力など、教師の資質をわかりやすく述べている。 (岩波新書)



私の身体は頭がいい

内田樹

武道の稽古にもとづき、身体に宿る知性を独特の手法で読み解いた面白い本。危険な敵と対峙した時、頭が判断を迷う時、身体的パフォーマンス力を上げたい時など、様々なシーンを想定して書かれている。身体知を考える上で、内田先生の著作は必読だ。 (文春文庫)


関連する学問

21.教育・心理の学問をみてみよう