教育・心理の本

スクールカウンセラーの仕事

伊藤美奈子

スクールカウンセラーに出会った人もいるかもしれないが、その仕事内容は表に見えていない部分が多くあり、わかりにくい。教育心理学の中でも、教育相談という学問領域を生かして実践を行っているのが、スクールカウンセラーの仕事。教育相談の領域で蓄積された研究成果を、実際の学校現場でどのように生かすことができるのかという難問を抱えながら、仕事をしている。そうした難問の答えとなるような工夫が、本書ではちりばめられている。この本を読むことで、スクールカウンセラーの仕事の奥深さを味わい、魅力を感じてほしい。 (岩波アクティブ新書)



スタンフォードのストレスを力に変える教科書

ケリー・マクゴニガル

すべての人が避けては通ることのできないストレスという問題をテーマに、社会心理学の最新知見を日常に活かす方法が紹介されている。ストレスとセルフコントロール、精神と身体のつながり、個人と社会のつながり、意識の限界と無意識の力、マインドセットの効用など、社会心理学において重要な理論や方法論が詰め込まれている。科学的な根拠のないポジティブシンキングのビジネス書とは一線を画し、スタンフォード大学の人気講師から人の心の仕組みに関心のあるすべての人に向けて、心理学の理論を実践に活かすということが、わかりやすく書かれている本。心理学部を目指すか否かにかかわらず、ぜひ読んでみてほしい。 (神崎朗子:訳/大和書房)



教師が育つ条件

今津孝次郎

大学の教員養成課程などを経て、いきなり先生として現場に立つ先生。必要なのが、教員を育てる環境の整備だと筆者は言う。「現場でこそ、先生は育つ」と、現職研修の重要性を説く。また、教科指導の力だけではなく、生徒や保護者と信頼関係を築ける力など、教師の資質をわかりやすく述べている。 (岩波新書)



聲の形

大今良時

耳の不自由な転校生の少女をいじめる少年だったが…。聴覚障害者に対するいじめをテーマにしていることから、大きな反響を呼んだ。しかし聴覚障害のある生徒が感じている様々な感情、コミュニケーション上での問題と解決策などが、よく見えてくる。学校で共に学ぶ障害がある仲間、学習に支援が必要な同級生をイメージしながら読んでほしい。劇場版アニメも制作された。 (講談社コミックス)



スポーツを考える 身体・資本・ナショナリズム

多木浩二

部活動で行ってきたスポーツや、テレビで観たり応援したりするスポーツ。これらは身近に感じられる一方で、学問の対象として考えにくいものなのではないだろうか。最近では、スポーツが社会を変化させるほどの影響力を持っているともいわれるが、この本は、スポーツが社会や歴史と無関係ではないことを、様々な視点で紹介してくれる。スポーツに対する見方を拡げてみてほしい。 (ちくま新書)



行動経済学 経済は「感情」で動いている

友野典男

経済を動かすのは、経済理論そのものではなく、感情を持った「人」である。人は合理的に動いているつもりでも合理的ではないし、選好の基準もうつろいやすい。経済を紐解くために人の心理を知る。著者は経済学者であるが、心理学的研究が数多く紹介されている。 (光文社)



その幸運は偶然ではないんです! 夢の仕事をつかむ心の練習問題

J.D.クランボルツ、A.S.レヴィン

キャリア発達の研究の第一人者であるクランボルツ博士の著書。キャリア形成において、ハプニングやちょっとした偶然、転機などを生かして人生を変えた人たちのケースが紹介されている。海外の事例ではあるが、この本を通じて高校生のみなさんには自身のキャリア形成の視点を変えていただきたい。 (花田光世、大木紀子、宮地夕紀子:訳/ダイヤモンド社)



高校生のための心理学講座 こころの不思議を解き明かそう

日本心理学会:監修

心理学は日常的にテレビなどで触れる機会が多いが、学問としての心理学とは異なる部分も多く、大学に入学してから「心理学がこんなものとは思わなかった」というミスマッチが起こることも少なからずある。それをなくすためには、「学問としての心理学」を知ることが必要だ。本書では、子どもの発達や感情などをはじめとした内容について、心理学の実験・調査・観察などを通して理解していく過程を説明している。きちんとした学問としての心理学に触れることができる。 (内田伸子、板倉昭二:編/誠信書房)



やってのける 意志力を使わずに自分を動かす

ハイディ・グラント・ハルバーソン

コロンビア大学の心理学者による本。動機づけや自己制御に関する科学的な研究成果をもとに、より良く目標達成していくための方法を提案してくれる。目標を設定してもなかなか達成できない人や、人をサポートする立場の人へ。 (児島修:訳/大和書房)



死んだ金魚をトイレに流すな 「いのちの体験」の共有

近藤卓

いのちとは何か、なぜ生きているのか。こういった大きく重い問題を心に抱えながらも生きていくためには、何が必要でどうすればいいのか。その疑問に答えたいと考えて、この本を書かれた。ぜひ、一緒にこの重い問題を考えてみてほしいと思う。 (集英社新書)


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