経済統計

最強の学問=統計学が、現実の経済の動きを予測する!


羽森茂之 先生

神戸大学 経済学部 経済学科/経済学研究科 経済学専攻

どんなことを研究していますか?

経済に関する様々な統計データをもとに、現実の経済の動きに関する分析を行う学問に経済統計学があります。『統計学は最強の学問である』というベストセラーになった書籍もありますが、実際、統計学の知識は現実の経済現象を理解する上でとても有益です。例えば、株価や為替等のマーケットの将来の変動を、過去のデータをもとに、予測することができます。また、アメリカ、EU、中国等の海外経済の動向が日本経済に与える影響に関しても、経済統計の知識があれば分析することが可能です。このように、経済統計の分野は、経済学の中でも極めて実践的で魅力的な学問分野であるといえます。

人工知能を用いて金融危機を予測

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経済学の最前線でも、データサイエンスの活用が本格化しています。現在の世界経済において、高度なネットワークシステムの発展により、世界の金融市場は密接につながり、一企業、一国家の信用不安が瞬時に世界経済に大きな影響を及ぼす時代を迎えています。繰り返される金融危機、経済危機を予測し、そのリスクを適切に管理するためには、どのようにすれば良いのでしょうか。私の研究室では、工学系研究者を含む幅広い専門家と協力をして、人工知能を用いてビッグデータを分析することにより、金融リスクの波及効果の分析や、金融リスクを評価する経済版ハザードマップの構築等に取り組んでいます。

これからの時代においては、経済学の研究者が人工知能の知識を理解し、人工知能の研究者が社会課題に対する理解を深めることがとても大切です。経済学を中心とする社会科学と人工知能を中心とする自然科学の協同が、とても重要な時代となりつつあります。

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中国で行われた国際学会での研究報告

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→金融機関(主として、銀行)
分野はどう活かされる?

マーケットの分析を行うなどの仕事で、大学時代に培った学習を活かしていると思います。

先生から、ひとこと

経済統計学は、データサイエンスの基礎となるとても魅力的な学問分野です。ぜひ、挑戦してみてください!

先生の学部・学科はどんなとこ

神戸大学は、旧商大の伝統を引き継ぎ、経済・経営系の学問が盛んな大学です。近年は、数理データサイエンスセンターを中心に、データサイエンスに関しても熱心な教育・研究が行われています。

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研究室のメンバーとの食事会

先生の研究に挑戦しよう

自分でデータを集めてきて、「為替相場の予測」を行うことは比較的簡単だと思います。

興味がわいたら~先生おすすめ本

インベスターZ

三田紀房

漫画でありながら、現実の経済を理解する上で大変有益な本です。特に、ビジネスの第一線で活躍されている実在の人物が本編や巻末の対談で登場し、自分の経験等を語っているため、高校生の皆さんにとっても役に立つことが多いと思われます。経済に関心がある人もない人も、まず、この本を読んで進路について考えてみて下さい。 (講談社コミックス)


データはウソをつく 科学的な社会調査の方法

谷岡一郎

数値や統計データは大きな説得力を持つがゆえに、扱い方を間違えると事実とまったく異なる危険性があります。社会科学における「事実」とは何か、マスコミによる世論の誘導、健康に関するデータなどのテーマで、統計データを扱う際の落とし穴について、丁寧に解説がなされています。 (ちくまプリマ―新書)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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