コンピュータの中に作られた仮想世界を疑似体験できる技術、バーチャルリアリティ(VR)は、著しく普及しています。VRは1980年代から研究されている技術ですが、近年ハードウェアの進歩と、VRコンテンツの制作環境の高度化と低価格化などもあり、大きな研究トレンドになってきています。
私はマルチメディア分野の中でも、特にコンテンツ制作に力を入れて研究しています。VRを活用したエンタテインメントコンテンツや、ゲームの開発技術の研究開発を進めています。また、コンピュータを利用したアニメ制作、CG映像制作に取り組んでいます。これは、芸術家がこれまで手作業で実現してきた表現を、コンピュータを利用してさらに高度化するために研究です。これらの研究は、日本が世界に誇るゲームやアニメを支える技術として欠かせません。
生体情報をゲーム開発に生かす
また、人間がどのようにゲームを楽しんでいるのかを、EEG(脳活動)、心拍、視線などの人間が発する生体情報をもとに分析し、それをゲーム開発に活かしています。エンタテインメント技術の高度化が追及しているテーマであり、ユーザーをより楽しませるコンテンツを生み出すことに貢献するでしょう。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→ゲーム開発会社、アニメ制作会社、CG制作会社
- ●主な職種は→プログラマー、プランナー
- ●業務の特徴は→高い技術力とマネジメント力
分野はどう活かされる?
技術に対する理解力やマネジメント力を活かす仕事としては、プロデューサーのように、コンテンツの制作の企画から管理までに至る仕事に就いています。具体的には、
・PlayStationの「トロ」シリーズのプロデュース(企画、スケジュール、予算管理)
・スタジオジブリ作品の制作デスク業務(制作スケジュールや予算などを管理)
また、制作の中で高い技術を発揮するアーティスト兼エンジニアのような仕事も多くあります。
・劇場版アニメ「君の名は。」、「天気の子」、「ガールズ&パンツァ―」の3DCG監督
・ゲームやCG、アニメコンテンツの制作業務
・ゲーム会社やCG制作会社の制作用ツールの開発
本学メディア学部は、日本で最も早く設置された「メディア」という名の付いた学部です。その中でも工科系大学におけるメディア学部ですが、工科系だけではなく、芸術系、文科系まで幅広い領域をカバーしている点が特徴です。1年次から履修できる、早期ゼミのような「プロジェクト演習」という授業を通じて、専門的な技術に早くから触れることができます。こうした体験をもとに高いレベルの研究を実施したり、様々な分野を横断する能力を身につけたりできるのが特徴のひとつです。特にコンテンツ領域では、産業界から高い評価を得ており、日本で初めて4年制大学においてゲーム開発者育成を始めるなど、先進的な取り組みが多くあります。
興味がわいたら~先生おすすめ本
CG World
最新のゲームやアニメ、CG作品のメイキングが紹介されているサイト。インタビュー記事や最新ニュース、用語集やデータベースなども多く掲載されており、普段見ている作品の制作の裏側を知ることができる。
(ボーンデジタル)