未来の環境を保全していくための技術として、下水処理場や食品工場などから排出された汚染水をきれいにする技術や、放射線や有害物質を土壌や地下水に漏出することなく処分する技術、海洋での油汚染、湖沼での洗剤や農薬汚染を除去する技術など、様々な技術開発が進められています。
そうした技術の一つとして、環境中の超微量汚染物質を現場で分析する技術が求められています。私は、ナノ薄膜試験という色素ナノ粒子からなる超薄膜シートを用いて、水銀や鉛、カドミウムなどを規制値レベルで測定可能な試験紙の開発を行っています。試験紙は色とりどりですが、工場からの排水が規制値より上か下か、流して良い水か、また使用する水が安全かどうか、だれでもその場で迅速に判断できるようになります。
コストや時間のかかる現状の有害物質の分析
これら有害物質は、水1リットルあたり数~数十マイクログラム(ppbレベル)という非常に微量な基準で規制されています。現状では、サンプルを分析センターに送り、専門技術者が煩雑な前処理をしてから機器分析で測定するため、数週間の時間とお金がかかります。それを現場で迅速・安価に行うことができれば、日常的に水の管理ができるようになります。事業所での日常的な排水管理はもちろん、農産物への汚染の判定や、発展途上国での飲み水測定、環境教育教材としても有用だと考えています。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→製造業、電気、食品、公務員
- ●主な職種は→技術系
- ●業務の特徴は→業種の違いはありますが、全員技術職
分野はどう活かされる?
分析関連の会社に就職している学生は研究室での知識をそのまま活かせます。実務訓練(長岡技術科学大学特有の長期インターンシップで国内外の企業等に4〜5ヶ月派遣)の経験者も多く、製造業では海外に関連企業や事業所があることは昨今、普通ですので、海外勤務で活かされていると思います。
色素ナノ粒子の膜は、見た目も大変きれいです。きれいなばかりでなく、機能も素晴らしく、試験紙の他にも、植物の葉っぱの光合成のように、光触媒機能を発揮するものもあり、飽きません。
長岡技術科学大学では、環境材料科学研究室、水圏土壌研究室、資源循環エネルギー研究室、環境生物研究室など、水や土壌に関する環境修復、環境保全技術の研究が大変盛んです。