高分子(ポリマー)は金属やセラミックと並ぶ三大材料の一つで、清涼飲料水用のペットボトルなどに使用されているポリエチレンテレフタレート(PET)やポリ容器・包装・ラップ等に使用されているポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)のような身近な材料から、人工血管・人工臓器等の医療用材料や有機EL(Electroluminescence)・有機太陽電池に代表される先端材料まで、多くの分野で利用され我々の生活を豊かにしています。
プラスチック、ゴム、化学繊維、接着剤、塗料など数多くの高分子があり、社会の持続可能な発展にむけて、高分子が活躍する分野はますます広がっていくでしょう。これら、様々な性能や機能を持った高分子材料を、化学の反応を駆使して作っていくのが高分子化学の分野になります。
新しい分子を作り出す
私たちは、新しい分子構築によって初めて可能となるような、多様な機能性を持つ新しい高分子の創製を目指しています。特に、高分子合成化学の先端技術を開発・駆使することで、高い付加価値を持った新規高分子の設計、合成、特性評価を行っています。
例えば、DNAやタンパク質を包んで安定化させるアミノ酸系高分子材料や、有機と無機をナノレベルで組み合わせることで硬いけれども自己修復するようなハイブリッド材料を開発しています。ナノレベルで分子が組織的に集合しているナノ組織体を作り出すことで、新しい機能の発現や優れた特性の獲得を目指し、より精密に高分子を合成する技術を基盤とした機能性材料の合成・応用に関する研究を展開しています。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→化学、石油化学、自動車、接着、ゴム、インク、半導体・電子材料関連の企業
- ●主な職種は→研究、開発などの技術職
分野はどう活かされる?
高分子・有機材料が持つ多様な機能に基づく技術は、化学産業から、電子・情報、自動車、さらには医療・福祉に至るまで様々な産業分野の基盤を支えています。学生時代に培った工学の基礎知識と高分子・有機材料に関する専門知識は、これらの幅広い分野に活かされています。
高分子・有機材料は現代社会を支える重要な材料の一つであり、新しい材料や素材の開発は社会を変える力を持っています。持続可能な社会の実現に向けて、一緒に高分子化学の先端技術を開拓し、未来の材料を創出してみませんか。
山形大学は、人文社会科学部・地域教育文化学部・理学部・医学部・工学部・農学部の6学部と7つの大学院研究科を備え、約9,000人の学生が勉学に励む、東日本でも有数規模の総合国立大学です。日本初の人造繊維開発の流れをくむ有機材料の基盤技術と産業化へのフロンティアスピリットを受け継ぐ工学部では、様々な分野の第一人者が最先端の研究開発に取り組んでいます。
高分子・有機材料工学科では、約30名の高分子・有機材料の科学者が結集した高分子研究の一大拠点として、特色ある教育と研究を行っており、時代を拓く先端産業の技術展開に不可欠な高分子・有機材料の最先端の研究に触れることができます。